僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

障害と乞食

今日も連休中の静かな一日、アル症と肝硬変、リスボン、58歳。

本日もリスボンの、思いつき・ノープラン・ブログ、ご訪問ありがとうございます。


午前中、こども会と自治会によるこども神輿の巡行があり、ワン姫を連れて見に行ったところ、
うちのワン姫が子供たちの間で人気者でした。

昼から今日こそはと琵琶湖大橋を歩いて渡ったところ、帰りは渋滞で、車が1台、事故ってました。
(静かに中央分離帯に一人で突っ込むという、自己完結型物損事故でした。)

というわけで、本日は特に深くこだわって書くようなできごとはありませんでしたので、
ちょっと衝撃的なタイトルですが、海外で見かけた二人の障害者(?)の乞食のことを書きます。

一人目は、まさに障害者の後に?マークを付けるがふさわしい人ですが、
マドリードのマヨール広場で見かけた女性の乞食(?)(こちらにもクエスチョンマークがつきます)です。

彼女は、表向きは盲ろう者です。
つまり、目が見えず、耳が聞こえない人です。
現在、日本には1万5千人ほど、いらっしゃるそうです。

おそらく

私は目が見えず、耳も聞こえません。
私に生活の糧をお恵みください。

ってなことが書いてある札を首からぶら下げ、頭を振りながら広場の入り口に座っていました。

ところが次の日に同じ場所に行くと、
彼女は鏡を見ながら盲者のふりをするためのメイクアップの真っ最中だったのです。

考えようによっては、彼女はプロのパフォーマーです。
また実際、マヨール広場には多くの大道芸人たちが集まっていました。

しかし別の見方からは彼女は詐欺師まがいのことをしているともいえます。
盲ろうという普通の人では想像すら難しい障害とともに生きているふりをして憐れみを乞うて暮らしているわけです。
ごく普通の人の、善意に基づく憐れみをだまし取っているといってもいいでしょう。

彼女は(歳は結構若そうでした。20代後半から30代前半といったところかな)パフォーマーなのでしょうか、それとも詐欺師なのでしょうか。

二人目は間違いなく障害者でした。
彼は上海駅近くの大通りに面した商業ビルの前に座っていました。

彼は左肩を露出させていたのですが、その肩にあったのはおよそ腕とは呼び難い、突起物でした。
その突起は、二の腕にも満たない短いものでした。
つまり彼は、左腕発育不全欠損という、先天的な身体障害者だったのです。

彼の姿は十分にショッキングなものでした。
しかしそれ以上に僕の興味を引いたのは、
彼はおそらく、年間を通して左肩を日光にさらしているのでしょう、その左肩は、たくましく日焼けし、黒光りしていたのです。

訪問先での調査を終え、彼が座っていた同じ場所に戻ってみると、
彼は友人と思われる何人かの若者たちと煙草を吸いながら談笑していました。
その笑顔は、まさに休憩中の労働者の一服の表情でした。


僕は、僕自身が海外では貧乏旅行をしていることもあり、
マドリードの彼女にも上海の彼にも、一銭も恵んでいません。

彼女に対しても彼に対しても、憐れみの気持ちも蔑みの気持ちもおきません。

ただ、二人ともたくましく生きているなと思うのみです。

僕たちはどうしても障害者に対して、一面的な見方をしてしまいます。

また乞食に対しても、少なくとも同志的な感覚をもつことは難しいでしょう。

でも世界中には、良し悪しは別にして、もっとユニークにかつたくましく生き延びている人たちがいるんだろうなと、
思いを新たにするのみです。

何はともあれ、
皆さんも僕も、今日も明日も、厚かましくも謙虚にかつご機嫌さんで
LWOA Life Without Alcohol 断酒ライフ、継続していきましょう。