僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

2世紀にわたる読書

飲酒歴40年、断酒歴4年と3か月、不良初期高齢者、リスボン、61歳。

本日もリスボンの、実はただの怠慢でした・ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。

 

静かな連休です。

連休っていっても、ずーっと大学がロックダウン状態ですから、

もう1か月以上、連休状態ですけど。

 

静かな理由も単純で、

デザイナーの長女も大学生の長男も、それぞれ大阪にいるからです。

知能指数マイナスのネトウヨ嫁とホンマに会話も乏しく、

静かに暮らしています。

 

相変わらず、

ネット上で授業の参考にできるような映像資料を渉猟し、

ピアノと歌の練習、そして少しばかりの外出で毎日が過ぎています。

 

せっかくの連休ということで、

もう一つ、取り組み始めました。

だいぶ以前に購入していながら、全く読めていなかった小説を、

この際だから読んでしまおうという企てです。

 

ウンベルト・エーコ、「前日島」。

記号論と中世思想のイタリアの碩学エーコの、

薔薇の名前」、「フーコーの振り子」に続く、小説作品です。

僕は1995年に、日本語版の初版本を購入していましたが、

30代の僕にはちょっと難解で、全く読めていませんでした。

こいつを本棚から引っ張り出して、何度目かの挑戦です。

購入してから25年目、ホンマに世紀の変わり目を跨いでしまいました。

 

改めて読み始めて、なぜ以前には読み進めることができなかったか、

今、多少は分りました。

エーコの小説はどれもそうなんですが、

主人公自身の語りと、主人公の語りの第一資料と思われるテキスト、

そしてさらには物語そのものの語り手、つまり作者の語りですが、

これらの語り手のレイヤーが複雑に絡み合います。

特に「前日島」においては、

主人公の語りが、

さらに主人公自身によるテキスト(仮想の恋人にあてた手紙)へと変換され、

そしてそのテキストをさらにエーコが再び、読み直すという、

少なくとも三重のレイヤーが設定されており、

しかもそれぞれのレイヤーで文体やボキャブラリーが異なるという、

ややこしい構造を示しています。

 

これは、30代の、分かった気になっていきっている思想家ぶりっ子の若造には、

とてつもなく荷の思い読書でした。

 

しかし世紀の変わり目も経験し、

干支も一回りし、

社会的な引退も見えてきて、ある程度、経験値を積んだじじぃになってようやく、

この作品に取り組めそうな気がします。

今回、ホンマに読了できるかどうかわかりませんが、

ま、のんびり取り組みます。

 

皆さんも僕も、今日も明日も、厚かましくも謙虚にかつご機嫌さんで

LWoA Life Without Alcohol 断酒ライフ、継続していきましょう。