僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

最近、旅立たれた人について

飲酒歴40年、断酒歴4年と4か月、不良初期高齢者、リスボン、61歳。

本日もリスボンの、追悼・ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。

 

クリスト・ヤバシェフ、現代美術の世界に大きな足跡を残したアーティスト。

パートナーであったジャンヌ・クロード女史とともに、

建物や自然の景観など、様ざまなものを包み込む、

ラッピングによる環境的な規模のアートプロジェクトを残してくれました。

 

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この国では芸術という言葉はとてつもなく誤解されています。

特に美術については、

社会全体の一般的な認識と、

専門家の間の共通理解の乖離があまりにも大きい。

そしてその乖離は、

世界的なレベルから見ればジョークとしか思えないような、

悲劇を生みだしています。

 

美術、決してその漢字表記通りに、

こぎれいなものをちまちまと産出するような、

せせこましい行為ではありません。

本当の価値観、社会の目指すべき姿、今、全ての人が真剣に考えるべき問題、

そういったシリアスなテーマについて、人びとの感性を導き、掻き立てる行為、

それがアートの役割です。

 

クリストとジャンヌ・クロードの、

場合によってははた迷惑なこともあり得たアート・プロジェクトは、

生意気盛りであった大学院生の僕に、

アートに対する根本的なアプローチの面で、

強烈な一撃を食らわせてくれました。

 

残念ながら一度もクリストにもジャンヌ・クロードにも会ったことはありませんが、

YouTube 上にいくつか残されている、彼らのインタビュー記録は、

今でも僕のアート根性を刺激してくれます。

あなたたちの、アートは社会を変え得るという真剣なメッセージを、

僕は僕なりのやり方で、これからの若者たちに伝え続けます。

 

佐伯チズ先生。

美容家として活躍されたチズ先生は、

実は一時、僕の勤務する大学の客員教授をお勤めでした。

そして年に数回、大学に来られ、

キャリアデザインの考え方について、学生たちに直接、語り掛けて下さいました。

いつも背筋の伸びた、本当の意味での礼儀の正しさ、

そして美しさを教えて下さいました。

何回か直接、お話しさせていただく機会がありましたが、

その凛としたたたずまいの中に、

自立した女性の美しさをたたえてらっしゃいました。

 

わさお

もちろん、会ったことはありません。

わさおも長年一緒に暮らしていたお母ちゃんの後を追うように旅立ちました。

お母ちゃんとわさお

人とワン太の、理想的な結び付きを見せてくれました。

君の残してくれた君の面影はブサカワではなく、とてもエレガントでした。

 

僕はまだまだ生き続けます。

 

皆さんも僕も、今日も明日も、厚かましくも謙虚にかつご機嫌さんで

LWoA Life Without Alcohol 断酒ライフ、継続していきましょう。