僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

アートの力 再確認

飲酒歴40年、断酒歴4年と10か月、不良初期高齢者、リスボン、レベル62。

本日もリスボンの、今日はアートの話・ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。

 

不埒なことに、大阪に行ってまいりました。

輪をかけて不埒なことに、僕の勤める大学の4年生、Cさんと一緒に、です。

さらに不埒なことに、僕の運転する車で、です。

 

目的は、大阪南港ATCで開催されている「バンクシー展」を見るため、

車で行ったのは、公共の交通機関の利用を避けるためでした。

 

f:id:skyoflisbon:20201209193038j:plain

 

オークションで落札が決定された瞬間に、

内蔵していたシュレッダーでバラバラになるように仕組んだ作品や、

イギリスやアメリカを中心に、

世界各地の大都市で展開されるグラフィティ・アートなど、

どちらかといえばスキャンダラスな作品展開で知られる謎のアーティスト、

バンクシーですが、

洗練されたスキルを駆使したシルクスクリーン作品も多く、

予想された以上に充実した、素晴らしい展覧会でした。

 

写真で紹介した作品も、そんなバンクシー名義のシルクスクリーン版画です。

衝撃的な画面構成です。

真ん中の裸体の少女は、

ベトナム戦争のさなか、アメリカ軍による爆撃攻撃から逃げる姿をとらえた、

有名な報道写真家らの引用ですが、

その両脇をまさにアメリカ型巨大商業主義の象徴ともいうべき、

ミッキーマウスとドナルドが固めています。

悲惨な少女の表情や姿と、

笑顔の奥に隠れたアメリカ型資本主義の残酷さの対比が、

見る者の社会的な恐怖感や憎悪の感情を駆り立てます。

 

僕はこの作品の前で、立ちつくしてしまいました。

アーティスト、バンクシーの問題提示力に舌を巻くと同時に、

僕たちの星がこの憎悪すべき商業主義によっていかに汚されているかを、

思い知らされてしまいました。

 

この国では、芸術は美というよくわからない価値に奉仕する、

高尚な行為として誤解されがちですが、

そんな腑抜けた理解をバンクシーの作品群は、ぶち壊してくれます。

バンクシーが何者なのかは、

今回の展覧会でも不明なままです。

しかし彼?(彼女?彼ら?)の芸術営為が、

とてつもなく重要な意味をもっていることだけは間違いがなさそうです。

2時間半、たっぷりとバンクシー・ワールドに浸かってきました

 

皆さんも僕も、今日も明日も、厚かましくも謙虚にかつご機嫌さんで

LWoA Life Without Alcohol 断酒ライフ、継続していきましょう。