僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

なぜ僕は研究者の道を選んだのか

飲酒歴40年、断酒歴5年と8カ月、不良初期高齢者、リスボン、レベル62。

本日もリスボンの、振り返り・ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。

 

昨日に引き続き、僕が研究者としてキャリアに進むことになったいきさつについて、

報告いたします。

 

在日韓国人の家に生まれた僕は、

幼いころから、大学に進むのであれば、理系を選択するように洗脳されていました。(笑)

僕の若いころは、まだ在日コリアンに対する就職差別が厳然と存在し、

理系に進学した方が、技術職等の就職差別を受けにくいキャリアが確保しやすいという、

実体験に基づいた親父の方針でした。

 

幼いころから音楽が好きで、なんとなく才能もあるように感じていたのですが、

高校生の頃には両親の洗脳に素直に従うようになっていました。

できる限り国公立に進むことが奨励され、

国立大学の中から、理系でも面白そうな学科のある大学を選び、受験しました。

 

第一志望は、九州芸術工科大学(現九州大学芸術工学部)で、

第二志望には京都工芸繊維大学を選びました。

受験難易度がかなり高かったにもかかわらず、

京都工芸繊維大学意匠工芸学科に縁があり、入学しましたが、

入学してから僕はえらいところに来てしまったことを感じました。

 

僕が入学した学科は、

日本でも有数のデザイナー養成学科で、

入試こそ理系の枠組みで行われていましたが、

受験生たちの大半は、芸大に進学することも可能な、美術受験の技能を持っていました。

僕はもちろん、高校3年の時に、半分ネタにするような気持ちで、美術を選択しただけです。

 

入学してすぐに「○○基礎実習」という名前の実技科目がいくつもあり、

一緒に入学した仲間たちの技術と、うっかり入学した僕の技術の差は、

もう、笑うしかないほどでした。

実際、2年生の時に履修した必修科目、「デザイン基礎実習Ⅱ」という科目では、

僕のあまりにも劣る技能に対して、仲間たちの面前で指導教授から、

本学始まって以来の手の悪さであるという、

最大限のお褒めの言葉をいただいたくらいです。

もし僕がそのことを苦にして自殺したら、

今であれば、大問題になったでしょうね。

 

でもここからが、根っからの ADHD 人間の強さで、

自分が出来が悪いことを逆に楽しむくらいの気もちで、頑張りました。

僕がサボっていたわけではないので、

仲間たちは、課題制作の中でうっかりへまをしてしまうことを、

僕の名前をもじって隠語にしてましたが、

でもみんな、暖かく見守ってくれました。

 

自分の手の技能にある程度の自信がもてるようになったのは、3年生になったころです。

ここでもまた僕の ADHD 感性が働き、将来のキャリアも含めた学習方針に対して、

ちょっとワープ気味の思考が頭をもたげました。

僕たちが学んでいた学科には、

美術史や美学といった芸術学を教える講座がありましたが、

僕は、それまでの実習で体得した経験を生かしながら、

美術史・デザイン史を勉強することを考え始めました。

そしてその時、僕の頭の中にあったのが、

モンドリアン抽象絵画だったのです。

 

僕は小学生のころから、図鑑が大好きでした。

美術の図鑑の中の、現代の芸術という項目の中にモンドリアンの作品が紹介されていましたが、

幼い僕はホンマに素直に、

なぜこんな単純な絵が重要な作品として紹介されているのか疑問に思い、

ちょっと生意気な好奇心を感じていました。

 

そしてモンドリアンは、近代から現代にかけての、建築やデザインに対しても、

非常に強い影響力を及ぼしたアーティストであり、

デザインを研究する専門学科での研究対象としても、ふさわしいものでした。

 

僕は芸術学講座の主任教授のもとにお百度を踏み、

入門を許可されました。

そしてまずは、モンドリアンの基礎的な研究文献を原書で読むように指示を受け、

デザインを専攻する学科で、英書に読みふける学生生活が始まりました。

 

僕は大学と学科は、かなりいい加減な気持ちで選択しましたが、

入学後の少しだけ辛い経験を経たのちの、大きなキャリア選択に関しては、

自分の ADHD 感性溢れる意志を発揮することができました。

多分、ラッキーな道を歩めたんじゃないかと思います。

 

豊田市美術館モンドリアンを楽しみながら、

久しぶりに若かりし頃(幼いころ?)を思い出しました。

また折に触れ、僕の風変わりなキャリアについて、報告します。

 

皆さんも僕も、今日も明日も、厚かましくも謙虚にかつご機嫌さんで、

LWoA Life Without Alcohol 断酒ライフ、継続していきましょう。