僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

知らなかったことと嬉しかったこと

飲酒歴40年、断酒歴5年と8カ月、不良初期高齢者、リスボン、レベル62。

本日もリスボンの、2日目の話・ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。

 

昨日、大事な家族だったリリー(シュナプー、10歳)の魂が神に召されてから、

1日が経ちました。

彼女の遺体は、保冷剤とともに、衣装ケースに収めて、リビングで横たわっています。

さすがに涙はもう流しません。

形式的なことも含めて、確実にお送りしなければなりません。

 

今日は午後に対面の授業がありましたので、

まずは午前中に、火葬の手続きを済ませました。

ネットと電話によって予約を済ませたのですが、

業界独自の事情のようなものを知りました。

 

家からそれほど遠くないところに斎苑がありますので、

まずはそこのサイトを確認し、フリーダイヤルの番号が記されていたので、

電話してみました。

こちらは初めてのことでもあり、知らないことも多いので、

いろいろと尋ねながら話を進めたのですが、

どうも途中から話がかみ合いません。

どうも僕の電話したフリーダイヤルは、

斎苑の番号ではなく、関西一円のペット葬を扱う業界の案内ダイヤルだったようです。

僕が勝手に勘違いしてしまいました。

 

その勘違い電話の途中なのですが、

「カソウシャ」という言葉が唐突に出てきました。

「カソウシャがそちらにお伺いし、ご遺体を・・・」というような話だったのですが、

カソウシャ、漢字では火葬車と書くようで、

要は移動式の火葬設備ということのようです。

火葬設備が移動するという発想が全くありませんでしたので、

全く思いもつきませんでした。

トンチンカンなやり取りを続けていきながら、

どうも僕のダイヤルの勘違いだったことが明らかになり、

あらためて斎苑に連絡を取り、

スケジュールの関係で、少し離れたところにある、

公営の別の斎苑の予約を取ることができました。

明後日、彼女の肉体も天に召されることになります。

 

僕はリリーが昇天したことについて、SNS 上では、ここでしか書いていません。

僕は、FaceBook も使っていますが、

FaceBook に載せるのも少し違うような気がしました。

パートナーと急遽、帰宅してきた息子以外とは、リリーの死について誰とも話していません。

大学に行っても、特に話す相手はいません。

大学内の電子掲示板には、プライベートなことをおしゃべりする場所はありません。

別にいいのですが、誰かに聞いてほしいような気持ちもありました。

 

以前に、今年の1年生の中に、あまりにも幼い感性をもった女子学生がいて、

彼女と授業中やその前後の時間に、楽しくやり取りをしているという不埒な報告をしましたが、

彼女も犬好きでした。

今日の授業は彼女も出席しています。

そこで授業の始まる少し前に彼女に、昨晩、我が家のワンコ、リリーがなくなったことを告げました。

その時の彼女の反応に、またやられてしまいそうです。

 

ワンちゃん好きの彼女は、僕の話を聞くなり、涙をうっすらと浮かべ、

そして僕の手を取り、慰めの言葉をかけてくれました。

昨晩、思う存分、涙を流したから大丈夫だよと告げると、彼女も小さな笑顔を見せてくれました。

 

新型コロナウィルス問題以降、なんとなく人との付き合い方が変わらざるを得なかった中で、

このちっちゃなやり取りは、誰にも言えないキラキラした瞬間でした。

 

授業はいつものように、僕が簡単な英会話の例文を示し、

学生たちがその例文をアレンジしながら会話を交わすことで進行しました。

授業の終わり時には、彼女もいつものまばゆい笑顔に戻っていました。

 

誰かの死は悲しい。

でもその死は、残ったものを優しくつないでくれます。

僕たちはまだまだ生き続けることができます。

 

皆さんも僕も、今日も明日も、厚かましくも謙虚にかつご機嫌さんで、

LWoA Life Without Alcohol 断酒ライフ、継続していきましょう。