僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

あるジャズ・ワルツ、断酒前と断酒後

飲酒歴40年、断酒歴6年、不良初期高齢者、リスボン、レベル63。

本日もリスボンの、今日もジャズ話です・ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。

 

ワルツ・フォー・デビー Waltz For Debby 、

リリカル・ジャズ・ピアノの代表、ビル・エヴァンス Bill Evans 1929-1980 の代表曲です。

ビル・エヴァンスのピアノは、

アメリカ人でありながら、ヨーロピアンなテイストもあり、

またその抒情的かつ知的な作曲ならびに演奏スタイルは、

クラシックの愛好家のみならず、ジャズファン以外からも支持されています。

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演奏する側からすると、この曲はかなりの難曲です。

全体的に和音進行は自然な流れを示しますが、

随所に印象的な変化和音が現れます。

また、全体の流れがあまりにもスムーズなため、

演奏のメリハリをつけるのが非常に難しい。

 

僕はこの難曲には、断酒ライフ入門以前から取り組んでいましたし、

現在もほぼ毎日のように、練習しています。

 

今振り返ると、飲酒者の頃の僕のワルツ・フォー・デビーは、

和音進行の特性やポイントをあまり理解せず、

バンドのノリでなんとなく演奏していました。

しかし断酒者となり、かなり客観的に自らの演奏を判断できるようになってからは、

この曲の本当の難しさを思い知り、

そしてその難しさ故の魅力についても、その入り口を垣間見ることができるようになりました。

 

ジャズを始めとするポピュラー音楽は、

いわゆるノリが極めて大事なように思われがちですが、

しかしそのノリを確保するためには、

冷静な判断力と反省力が必要です。

もちろん、プレイヤーとしての身体訓練は絶対的な前提条件です。

 

断酒ミュージシャンとなったことで、

音楽のもっている感性に訴えかけるディオニソス的な魅力は、

知的な判断力と、それから知的な意志によって支えられる身体訓練が必要であることを実感しました。

 

僕にとってワルツ・フォー・デビーは、僕の第二の人生の深まりの度合いを表す、

マイルストーンの一つになりそうです。

このマイルストーンへの到達までまだまだ時間がかかりそうですが、

もちろんそのためにも、

LWoA Life Without Alcohol 断酒ライフの厚かましい継続あるのみです。