僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

少年老い易く学成り難し

飲酒歴40年、断酒歴6年と11か月、不良初期高齢者、リスボン、レベル64。

本日もリスボンの、時は戻らず・ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。

 

若い頃、ちょっとしたささやかな老後の夢をもっていました。

それは、定年後に再びに大学に入り、学びを楽しむというものです。

残念ながらそのようなプチ贅沢を可能にできるような資金力は形成できませんでした。

でも、純粋な学び直し?であれば、その気になればできますよね。

 

今日も思いついて昼から図書館に出かけました。

希望していたことにジャストミートする本を見つけることはできませんでしたが、

せっかくですので、大型の美術書を眺めることにしました。

 

今日、図書館でじっくりと眺めたのは、

イタリア・ルネサンスの建築や絵画、そして彫刻について学術的にまとめられた、

大型本です。

 

僕にとってイタリア・ルネサンスは、研究上の専門ではありません。

しかし西洋美術史全般について考えるためには、

思想や文化の大いなる発展的転換点としてのルネサンスは、

必須の教養です。

学生時代の僕にとって、

デザイン史を専門分野にすることを決めてからの直接のお師匠様の専門がイタリア美術史であったため、

よくわからないながらも、一生懸命、講義を聞いていました。

 

今日、改めて、仕事という観点からの縛りを離れて、

比較的、自由な立ち位置で、ルネサンスの巨匠たちの絵画を眺めていますと、

学生のころには思いつきもしなかったような疑問や感想が、

次々と湧き出てきました。

専門家としての一定の研鑽を重ねてきたことにより、

プロとしての目が養われたということもあるでしょう。

また、何回か、研究出張と称して、ヨーロッパを旅し、

街並みを眺めたり、美術館を訪れた経験も積んできました。

 

今の僕の知識や感覚で、20歳前後に戻り、お師匠様の講義を聞いてみたら、

どのように感じたことでしょうか。

もちろん、全くのタラレバの話ですが、

絶対にありえない話であると同時に、

だからこそ、何となくワクワクする感覚もあります。

 

思い返してみれば、

最初の学術論文を書き上げ、学位を取得したころが、一番、生意気でした。

そのころは、自らの努力の蓄積に中途半端に自信をもっていたため。

自分の主張の正しさを疑うことがありませんでした。

青かったんです、青さゆえのエネルギーと愚かさにあふれていました。

 

でも、歳を重ねることで、疑問を感じること、

何か分からないことがあるということをしっかりと自覚できることの面白さが、

分かってきました。

スンマセン、話がややこしくなって。

 

知らないこと、分からないこと、そして知りたい、わかりたいと思うことは、

どうやら、ムチャクチャ贅沢で、ムチャクチャ楽しいことのようです。

少年は老い易いのですが、老いるがゆえに見える楽しさもあるようです。

レベル64、一見、いたずらに齢を重ねているようですが、

それなりの面白さが伴っていました。

やっぱ、断酒ライフ、最高です。