僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

PDCA の A って?

飲酒歴40年、断酒歴7年と2カ月、不良初期高齢者、リスボン、レベル64。

本日もリスボンの、納得できません・ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。

 

数年前くらいからだと記憶するのですが、

いろいろな組織の運営にあたって、PDCAサイクルの運用というようなことが盛んに言われました。

今は少し下火になった感じもしますが、

大学業界でも、授業計画の改善に際してPDCA サイクルを取り入れようってなことが、

一時、ちょっとした流行のようになっていたことがあります。

僕の勤務先でも、大学全体の研修会で取り上げられたりしたこともありました。

 

PDCA 

プラン 計画を立てる

ドゥー 計画を実行する

チェック 計画の成果を検証する

そしてアクション チェックに基づいて改善計画を策定する

このようなサイクルを繰り返し運用する、

ま、そんな考え方ですよね。

 

 

僕はこのPDCAという考え方に対して、最初から引っ掛かりがありました。

PDCAサイクルですから、PDCAPDCA・・・と繰り返されていくわけですよね。

僕はその繰り返しの中の、AとPの接続点がどうしてもイメージできませんでした。

AとP、つまり改善計画と計画策定、何が違うんだろう、

PDCと続けられた後のAは、当然ながらPも含んでいるんじゃないか、

最初だけPDCAで始められるけれど、

一度サイクルが回り出したら、PDCADCADCA・・・と続くんじゃぁねぇんですか、

あるいは、PDCADCPDCP・・・と続くんじゃないんですか。

 

要は僕は、

PDCAサイクルという概念の中でのアクションという言葉の使い方が理解できなかったわけです。

 

ところが今日、突然、アクションという言葉の意味というか、使い方の特殊性が分かりました。

 

今、珍しく、経済小説を読んでいるのですが、

その中で、アクションプログラムという言葉が出てきました。

どうやらアクションプログラムというのは、企業の再建計画を意味する業界用語のようです。

PDCAのAも、同じ文脈で捉えれば、

プランとは少しばかり性質の異なる計画策定のことを指していると理解できそうです。

 

でもアクションという言葉のもともとの意味には、

改善計画、あるいは再建計画という意味はありませんよね。

アクションはあくまで、行為という意味であって、計画策定という意味も本来はありません。

 

僕が PDCA という言葉に対して抵抗を感じていたのは、

アクションという言葉の本来の意味でしか理解できなかったからです。

つまり僕は、業界用語を知らなかった。

 

さてここで問題です。

業界用語について知らなかった僕が悪いのでしょうか、

それとも業界用語の特殊性を知ってか知らずか、堂々と一般語として用いる輩が悪いのでしょうか。

 

この問題の答えは、どちらもありそうですよね。

業界用語を知らない、すなわち世間知らずである、という非難も成立するかもしれませんし、

常に言葉の本来の意味を確認する必要があるという心構えも、無視できないはずです。

 

僕は中途半端にカッコつけて業界の面倒なノリを追っかけるよりも、

研究者としての矜持に忠実に、言葉の原点を大事にしてきました。

 

世間一般では、業界用語を使いこなすことがカッコええとされているような風潮がありますよね。

僕たち、研究者は、必要に迫られて横文字を多用しますが、

しかしいわゆるビジネスの世界で濫用される業界用語については、

常に注意しながら用いています。

もっとも、最近では、アカデミーの分野でも軽々しい言葉遣いが流行ってきましたので、

20世紀の昭和のジィサンにとっては居心地のよくない場面が増えてますけど。

 

もうすぐ研究者としても引退しますが、

世間の軽はずみな感覚には簡単には迎合しない、ジィサン根性はもち続けようと思います。