僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

三代目が潰すんでしょうね、きっと

飲酒歴40年、断酒歴7年と4カ月、不良初期高齢者、リスボン、レベル64。

本日もリスボンの、案外身近なことかも・ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。

 

今朝(5月31日)は、多くの方が少しばかり戸惑ったことでしょう。

北朝鮮が予告通りに衛星という名の弾道ミサイルを打ち上げたということで、

沖縄地方を主な対象とした J アラートが発動されました。

 

朝のテレビ番組は、NHK をはじめとしてほぼ全ての局が、

この報道にかかりっきりになりました。

 

実際にはご存じの通り、北朝鮮の打ち上げた飛翔体は、

宇宙空間に届くことなく、黄海に落下したようです。

 

これまでも何回か話題にしてきましたように、

僕にとって北朝鮮は、全く縁のない国ではありません。

 

亡くなった僕の母親の一族は、

いわゆる帰国事業で北朝鮮に渡りました。

僕が小学生のころには、僕たちの親戚が形成していたミニ・コミュニティーに、

朝鮮総連から派遣された若い朝鮮語講師が夏休みに泊りがけで訪れ、

今思えば北寄りの言語指導を行っていました。

 

僕の家族が、帰国事業に参画し、

北朝鮮で惨め極まりない最期を迎えた可能性も、全くのゼロではありませんでした。

 

現在の北朝鮮は、恐らく、建国以来の最大の経済危機の真っただ中にあるようです。

少なくとも20年前には、人民軍の兵士が飢えるということはなかったようですが、

現在の北朝鮮人民軍兵士には、ろくな食糧の配給もないようです。

北朝鮮の地方の農民の暮らしが悲惨を極めてきたのは、これまでと変わりありませんが、

最近では、エリートだけが暮らすことが許されている、

仮面劇場都市、ピョンヤンの市民たちにとっても、

食糧事情はひっ迫しているようです。

 

そんな中で、強行した弾道ミサイルの打ち上げ、

しかも失敗しました。

どうなるんでしょう、あの国は。

 

僕は北朝鮮問題の専門家ではありません。

やや濃度は薄いとはいえ、若干の当事者意識をもちながら、

メディアの報道に注目してきました。

時には、金王朝に関する書籍にも目を通してきました。

 

その中で感じたことですが、

初代が盛り上げた体制は、2代目がかろうじて維持し、

そして3代目が潰してしまうんだろうなと思っています。

 

初代、キム・イルソンは、性格は粗暴にして、異常にケンカが強く、

自己中心型の権謀術数にたけた人物だったようです。

権力の中枢についてからは、粛清に告ぐ粛清で政敵を葬り続けました。

もちろん、この人物が、人民を極限まで苦しめる地獄の国を作り上げた、最大の悪者です。

 

2代目、キム・ジョンイルは、己の地位を守ることに関しては、

徹底的に計算高い人間だったといっていいでしょう。

背も低く、異常なまでの映画好きであるということ以外、特にとりえのないこの男は、

どのようにふるまえば張りぼての自分を神格化できるかだけを考え、

そのことのためだけに人生の全てを費やしました。

その一つの表れとして、自らの肉声をほとんど公表しませんでした。

もちろん、こやつも悪人ですが、先代に比べれば、その悪人ぶりは小者であったといっていいでしょう。

 

そして3代目、キム・ジョンウンですが、初代ほどの政争での強さもなく、

2代目ほどの計算高さもない、

しかしながら、気合だけの帝王学を叩きこまれた結果、

最高尊厳という登録商標を演じ続けなければならない、

これもある意味では悲劇的な人生を送ることになってしまった、

小悪人にすぎません。

この小悪人を最高尊厳と祭り上げることで、己の特権を堅持しようとする、

赤い貴族と呼ばれるごく少数の特権階層が、北朝鮮の悲劇を継続させています。

 

しかしなんぼ何でも、もう持たないでしょうね。

年端もいかない娘を重要な場面に同行させ、写真を撮らせる、

この神経は全く理解できません。

そして残酷極まりない予想としては、

この少女は、必ずや朝鮮人民の怒りの中で、最も残忍で、無様極まりない死を迎えることになるでしょう。

 

果たして国家としての北朝鮮の崩壊、

そして北朝鮮人民の解放は、いつ、起こり得るのか。

全く予想はつきません。

案外、すぐ起こるかもしれませんし、

僕がその時を確認することなく、神様からお呼びいただくかもしれません。

でも、アンテナだけはしっかりと張っておこうと思います。