僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

女子学生を泣かせてしまいました

飲酒歴40年、断酒歴7年と4カ月、不良初期高齢者、リスボン、レベル64。

本日もリスボンの、僕は喜んでます・ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。

 

僕は今、勤め先の大学で、英語の授業を2コマ、担当しています。

1コマは、ここでも時々、触れている、

大学の授業として単位を認定するのはやや問題ありの、

超入門編の会話練習の授業です。

 

そしてもう一コマは、こちらは大学の教養科目として十分に恥ずかしくない、

講読の授業です。

 

僕は外国語の学習についてはガンコな信念がありまして、

最終的な目標がたとえ会話スキルの修得であったとしても、

テキストにがっぷり四つで取り組み、

文法感覚を身につけることが一番の早道だと信じています。

 

今日は、その文法感覚をしっかり身につけるためのテキスト講読の授業の日です。

もちろん、美大の学生でこのような硬派な授業にわざわざ取り組む若者は、

決して多くはありません。

今年は現在のところ、15名の学生が何とかついてきてくれています。

 

この授業、読むべきテキストの選定が結構、難しいんですよ。

というのも、せっかく時間をかけて洋書に取り組もうということなので、

単なる語学学習用のテキストでは面白くありません。

アーティストやデザイナーの卵たちにとっても有益で刺激的な、

今日的な話題を取り上げており、

しかも、できる限り平易な英文で書かれた書物を選ぶ必要があります。

 

今回の授業では、

恐らく高校生以上の一般人を対象にした、

フェミニズムについての入門書を選びました。

ジェンダー問題の恥ずべき後進国であるこの国の若者たちに、

世界標準のフェミニズムの常識について知ってもらうことは、

大いに意味があると思っています。

 

今日、この授業が終わって一人の4年生の女子学生と少し雑談をしました。

洋画を専攻している彼女は、現在、就職活動中で、

すでに1社から内定をいただいているそうです。

 

僕の風変わりなキャリアについても少し話しました。

そして僕がプロのピアニストして仕事をしていたことを話してから、

彼女の方から、僕のピアノが聴きたいというリクエストがありました。

ちょうど昼休みの時間であったこともあり、

二人で、グランドピアノの置いてある講義室に行き、

3曲ほど、彼女一人のためのミニライグを行いました。

 

2曲目に、ジャズ・トランペットの巨匠、マイルス・デイビスが作曲し、

リリカル・ピアノの巨匠、ビル・エバンスがレパートリーとして好んで弾いていた曲、

「ナルディス」"Nardis" に僕がオリジナルの歌詞をつけた、

「新しいラプソディー」を、心を込めて歌い、そして弾きました。

 

歌い終わって少しばかり歌詞の内容について解説しようと思って彼女の方を見ると、

涙ぐんでいました。

少しばかり照れくさいのですが、僕の歌と演奏に感動してくれたようです。

心も体もデトックスされましたと言ってもらえましたが、

ミュージシャンとして最高の栄誉です。

 

スンマセン、タダの自慢話です。

でも、彼女の涙は、僕にさらに断酒ライフを継続させ、そして生き続ける意味を与えてくれました。

音楽に感謝し、出会いに感謝し、そして神様に感謝します。