僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

原点

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寂しがり屋のくせして人とつるむのは好きではないわがままアル症男、
肝硬変もお友だちです、リスボン、58歳。

本日もリスボンの、有害無益・ノープラン・ブログ、ご訪問ありがとうございます。


写真は、1872年に生まれ1944年に亡くなった抽象絵画の巨匠、ピート・モンドリアンの作品です。

単純な色見本にも見えますよね、
そして構成はなんとなく不安げなアンバランスさを醸し出しています。

誰にでも描けそうなこの絵、おそらく値段はつかないと思いますが、
仮に間違ってアート・マーケットに出てくれば、億以上の値が付くでしょう。

間違いなく、近代から現代にかけての西洋美術史の最も重要な作品の一つです。

このモンドリアン抽象絵画、それが僕、リスボンの人生の原点の一つです。

僕は大学と大学院で美術史、並びにデザイン史を勉強し、美術大学で教えることになりました。

しかし以前にも書きましたが、僕は決して絵が上手いわけでも工作が得意なわけでもありません。
むしろ、あきれるほど、ぶきっちょです。

美術業界で生きていることが不思議なくらいです。

そんな僕がアートの世界にかかわることになった原点の一つが、
小学校の頃に出会った、モンドリアン抽象絵画でした。

いろいろな図鑑を見るのが好きな子供だったぼくは、美術の図鑑も愛読書の一つでした。
そしてその西洋美術史の項目の最後のほうのページに20世紀のアートというコーナーがあり、
そこにモンドリアンの作品が掲載されていたのです。

小学生の頃の僕の正直な感想、

「え、こんな誰でも描けそうな絵のどこがすごいの?」

今ではこの疑問には専門家として答えることができますが、
しかし小学生のリスボン君は、ごく普通の感覚でこの作品を見ていました。

そして何故この単純な色見本みたいな絵がすごいのか、暴いてやろうという野望をなぜか抱きました。

おそらくこの野望が、僕の人生の原点だったんですね。

つまり、何かに感動してそこに意味を見出したというよりも、
世間、というかエスタブリッシュメントというか、上から押し付けられるかのような見方に対して疑問を抱き、
その疑問に納得できる答えを探してやろうという、
いい意味でオタクシビリティーにあふれた、
しかし反骨の精神にも満ちた、
素直なへそ曲がり感性こそが、僕の人生を貫いていたのです。

おそらく、アル症や肝硬変になるまで飲酒が深まってしまったのも、このことと無関係ではなさそうです。

俺は自分が納得できることをしたいだけやのに、何で世間はわかってくれへんのや・・・
という、ある種、逆恨みポテンシャルゆえに、俺のことをわかってくれるのは俺だけや、
と不完全な自己完結の殻に閉じこもるための薬品が酒だったようです。

なぜそんなに自己チュウ感性が深まったのかはまだ明らかではありません。
中途半端に楽器の演奏が小器用だったことと関係があるかもしれませんが、また考えてみたいと思います。

今はアート大好き不良高齢者ですよ、立派に。

酒を飲まずともアートも音楽も楽しい、お得な生活を送っています。

皆さんも断酒ライフゆえのお得さを満喫しましょう。

というわけで、皆さんも僕も、今日も明日も、厚かましくも謙虚にかつご機嫌さんで
LWOA Life Without Alcohol 断酒ライフ、継続していきましょう。