僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

紀伊國屋新宿南店

今朝のYahooニュースで、紀伊國屋書店、新宿南店の撤退の記事を見て、一瞬、え~っと、衝撃が走りました。
でも、詳細記事を読んで、洋書売り場は現状を維持するという事で、ホッとしました。

僕たち研究者にとって、いかに最新の学術的成果の公表にアクセスできるか、というのは、死活問題の一つです。

もちろん、自らの専門領域に極めて近い領域の研究成果については、それなりのネットワークから新しい情報を得ることはできますし、僕もいくつか、そのようなネットワークには参加しています。

しかし、研究領域が学際的になればなるほど、アンテナはゆとりをもって広げておく必要があります。
そしてそのようなアンテナの置き場所としましては、インターネットも有力な場であることは間違いないのですが、
実際に印刷された書物をこの目で見て、そしてページを開け、活字の醸し出すオーラを確認することができる場、
すなわち、本屋さんというのは、知的な直観と感覚的な直観の両者を研ぎ澄ませることができる場所として、極めて重要なのです。

ここ10年間ほどで、書物の販売方法、そして僕たち読者の書物へのアクセス方法は、少なからず変化しました。
書店は、売れるかどうかわからない書物については、できる限り売り場に陳列しないようになってきています。
そして、専門書に関していえば、アマゾンをはじめとするインターネット販売が中心になってきています。

インターネットを通じての書物の購入は、確かに便利ですし、僕もその恩恵に預かっています。

しかし、実際に思わぬ書物と目と手を駆使して出会う興奮、これは、やはり電子ネットワークでは得難い、経験です。

そういう意味では、研究者として若いキャリアをスタートしたころの僕にとって、神田は聖地でしたし、特に三省堂の洋書売り場は、絶対にはずせない場所でした。

数年前から紀伊國屋新宿南店の6階が、その役割を果たしてくれていました。
ですので、今回のニュースはびっくりであるとともに、ホッとする部分もあったのです。

できれば、現状の紀伊国屋6階フロアの売り場規模が縮小されず、人文関係の洋書に関しては、そこに行けばOKというスタンス維持されることを、切に願います。