僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

全能感と依存症

飲酒歴40年、断酒歴800日と少し、超不良初期高齢者、リスボン、59歳。

本日もリスボンの、知ったかぶりわかったふり・ノープラン・ブログ、ご訪問ありがとうございます。


IR Integrated Resort 統合型リゾート施設に関する与党案の基本が示されつつあるそうです。

全国でとりあえずは3か所。

日本人にはカジノへの入場料、6000円を課すそうです。


根拠もないのにIRが経済の活性化につながると信じている自民党の、
脳みそレスな先生方のごり押しと、

与党ではいたいけれど一応、善意の政治を展開したい公明党の先生方の、
ぎりぎりの妥協案のようです。

カジノの入場料、6000円は、ギャンブル依存症対策らしいですが、
しかし、何度か書いていますように、対策にはならないでしょうね。


日本でギャンブル依存症といえば、
何といってもパチンコ・パチスロのヘビープレイヤーが思い浮かびます。

過去にパチスロにはまっていた経験から少しばかり、
この日本独自のギャンブルマシンの特性について考えてみたいと思います。


現在のパチンコ機の主流は、
昔風の言い方をすれば、いわゆるフィーヴァータイプに当たります。

遊戯玉が特定の入賞口に入ると、3桁を基本とするデジタル表示が回転を始め、
同一の数字や絵柄がそろって停止すると大当たり、
大きな入賞口が何回か開くことによって、大量の出玉が獲得できる、

これがフィーヴァータイプの基本的なゲームの流れです。

大当たりが発生するかどうかは、実は比較的単純なシステムで決定されていまして、
デジタル回転を発生させる入賞口に球が入賞した瞬間に、
機内のプログラムが乱数を拾い上げ、
その乱数が特定の数字の場合、大当たりが発生するということのようです。

でこの乱数ですが、
とんでもない高速で移行しているため、
特定のあたりを狙い撃ちすることはまず不可能です。

そして乱数ですから、大当たりの発生には何らの規則性も生じないはずです。


ところが、ここから先がおそらくはパチンコメーカーのプログラマーの腕の見せ所だと思うのですが、

短期的にみれば大当たりの発生に偏りが窺えるような乱数を発生させているように見えるのです。

いわゆる連荘(大当たりが連続、ないしは比較的短い間隔で連続して起こる)が起きたり、
あるいは逆の大はまり(どれだけデジタルを回転させても大当たりが出現しない状態)が起きたりするんですね。


そして大はまりの後には連荘が起きるなぞという、全く根拠のない推論が大真面目でなされ、
しかもそのような出玉展開を見せるような台も現れたりするんですね。

自分は大当たりの出方について鋭いカンをもっていると根拠もなく信じ込んでいるプレイヤーは、
大ハマりした台を選んでへばりつき、
あたかも的確な判断ゆえに連荘を勝ち取ったかのごとくに誇らしげに打ちます。

つまり原理的には全くの偶然、技術介入の余地は全くないにもかかわらず、
あたかも自らの読みでおあたりや連荘をつかみ取ったあのごとく、誤解をします。


そして大当たりに至る華麗な演出も相まって、
たまたまあてたに過ぎない大当たりの偶然の中に、
ありもしない己の全能感を見出すことになります。

自分はパチンコの大当たりを実力や的確な判断力で引き当てることができる!

そう信じて、負けても負けても、
ほとんど自分には還ってこない恐怖の貯金箱の前に座り、
現金を投入し続けるようになり、
やがては生活のすべてが立ち行かなくなる。

僕が考える、最近のパチンコ機によるギャンブル依存症形成の一つのプロセスです。

以前にも書きましたが、最近のパチンコはレートが半端ではありません。
1日の遊戯で10万円前後の金額が動くのは、もうごく普通のことのようです。

この台は大当たりが近いと根拠もなく判断し、
その結果、短時間で10万円以上の勝利を収める
こんなことが2回くらいあれば、
そりゃ自分はできるやつだと誤解するやつが現れますよね。

恐らく日本では、
パチンコの問題を根本から考え、抜本的な対策を講じない限りは、
ギャンブル依存症の問題は解決しないでしょう。

ましてカジノの場合、
それぞれのゲーム台のディーラーは、自由自在にゲームをコントロールできるようです。
程よく勝たせていい思いをさせて、

次回からじわじわと回収する、
たまには毎回出席の優等生にほんの少しだけ、おすそ分けを施し、
でもそのおすそ分けもあっという間に回収する、

セルフコントロールがきかなくなった(依存症を発症した)プレイヤーからは、
それこそ、法律の許す限り、本人の生存がぎりぎり確保できる限り、尻の気までむしり取る、

そんなことは朝飯前のディーラーたちが、
勘違い全能感の奴隷たちに来場を手ぐすね引いて待っている、

そんな構図が見えますね。


でも、やがて日本人プレイヤーは疲弊していきます。
インバウンドのお客さんが本場のカジノを差し置いて日本のカジノで遊んでくれるでしょうか。

ぼったくりの賭場は、客が疲弊することによって賭場自身も疲弊します。


僕の予想は、最初にも書いたように、わかったふり・知ったかぶりの根拠レスに近い予想に過ぎません。

でも僕は、依存症の一つは身をもって経験しました。
あの自分自身の脳みそのコントロールがきかなくなる恐怖の時間を知っています。

そして僕自身はギャンブル依存症には陥りませんでしたが、
ひと時とはいえ、パチンコというギャンブルのもっている親しみやすいがゆえに逆に恐ろしい側面も知っています。

また、韓国のカジノが招いた多くの悲劇についても、伝聞ではありますが、知っています。

やっぱIRは無理ですよ、この国では。

このテーマについては、これからも考え、発言していきます。

頭をクリアにして情報もキャッチしていきます。

そのためにも

皆さんも僕も、今日も明日も、厚かましくも謙虚にかつご機嫌さんで
LWoA Life Without Alcohol 断酒ライフ、継続していきましょう。