僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

芸事の評価

飲酒歴40年、断酒歴2年と10か月、不良初期高齢者、リスボン、60歳。

本日もリスボンの、今日はアップトゥデイトな話題で・ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。


今年のM1グランプリの後の、
二人の芸人によるSNS上での、
審査員、上沼恵美子に対する暴言とその後の騒ぎが話題になっています。


僕たち断酒ライフ実践者の関心は、
当然ながら二人のボケがほぼ泥酔状態で発言し、
そしてそのままSNSに投稿してしまったことにまずは向かいます。


酔っぱらった時には、
誰でもまともな判断ができないという圧倒的な事実。

まずこいつらはこのことに対してあまりにも意識がなさ過ぎました。


それからSNSをはじめとするネット上での発信の恐ろしさ。

これは僕たちも大いに気を付けるべきですが、
この点に関してもこの二人の芸人は意識が低かったというべきでしょう。



でも今回の騒動に関しては、
また違ったことも考えています。


それは芸事一般に関する評価の難しさということです。


今回の騒動はもちろん、この二人の芸人の意識の低さが招いたものであり、
そして残酷なことではありますが、彼らはそれ相応の報いを受けることでしょう。
特にスーパーマラドーナの武智君には、いばらの道が待っていそうです。

相方の田中君もその意味ではいい迷惑ですよね。


しかし出場者の側に立ってみると、
審査員の気まぐれにしか見えないような採点が、
彼らの芸に対する評価を左右しかねないという事態は、
由々しきことでした。


そして時に上沼恵美子の採点には、
独自性が発揮されました。

そのような独自性でキャリアが左右されてはたまらないというのが彼らの不満の根本にあったと思われます。


しかしここで考えるべきポイントがあります。

それは
漫才だけではなくすべての芸事において、
絶対的かつ客観的な評価の物差しはないという事実です。


お笑い芸でも、
ある人にとっては爆笑を呼び起こす芸が、
他の人には全く理解できない、
場合によっては不快な印象しかもたらさないということが大いにあります。

ましてM1のように、
若手の芸人たちの生き馬の目を抜くような競争を評価しようという試みの場合、
ラジカルな芸風に走る若手が台頭する可能性も否定できません。


そのような芸を評価する際に、
一番大事なポイントは、
逆説的に響くかもしれませんが、
自分自身の感性に100パーセント、素直に評価するということしかありません。


大衆に受け入れられるかどうかを個人が個人の目で評価することは、
とんでもない自己矛盾の連鎖を呼ぶだけです。


従って上沼恵美子の採点は、
尊重されるべきです。


彼女はただのおばさんではありません。

かつて漫才師として一世を風靡し、
その後もテレビの世界でお茶の間の笑いを取りながらエンターテインメントを提供し続けてきた、
すんげぇ、おばさんです。


しかもM1の審査員に上沼を招聘したのは、
まさにM1の企画者ともいうべき、松本ですよね。

松本が笑いのカリスマならば、
そのカリスマが招いた審査員は、唯ものであるはずはありません。



もちろん僕は、
M1の結果が絶対であるなぞというつもりはありません。

むしろ、
ついにM1のチャンピオンに成れなかった芸人の中にこそ、
ほんまもんのザ・マンザイ・アーティストがいるとすら思っています。


しかし毎年のM1の結果はそれとして重要な意味や意義もあります。


悪いけれど、
今回、酒に酔ってネット上に悪ふざけをアップしてしまった二人の芸人は、

芸事をめぐる厳しい真理に目が向かなかったという点で、
未熟であったということでしょう。


そしてその因果は、かわいそうですが、
彼らの真上にめぐってきそうです。


二人ともこれで壊れずに、
これをさらなる芸の肥やしにするくらいの根性を見せて、
芸人としてビッグになってほしいと思います。



僕たちも断酒ライフでビッグになりましょう。

ということでいつものように

皆さんも僕も、今日も明日も、厚かましくも謙虚にかつご機嫌さんで
LWoA Life Without Alcohol 断酒ライフ、継続していきましょう。