僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

己も他人も騙す使用障害発作時

飲酒歴40年、断酒歴6年と1カ月、不良初期高齢者、リスボン、レベル63。

本日もリスボンの、いやな話題ですみません・ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。

 

今日は1日が半日ずれてしまいました。

 

午前8時30分頃にくそ親父から電話があり、

錯乱状態にあり、助けに来てくれという SOS でしたので、

オヤジのアパートまで車を走らせました。

 

電話では、財布も保険証もありかが分からなくなった、

昨日の昼間ではまともだったんだが、といかにも錯乱状態を装っていたのですが、

オヤジの部屋に入って少し驚きました。

 

外出する気、満々に小ぎれいに着替えて待っていたのです。

いろいろ言いながらも、

とにかく、睡眠薬を処方してもらっている先生の所へ連れていけということらしい。

その先生は、週に3日しか診察されません。

オヤジは、今日が先生の診察日であることもしっかり認識していました。

 

とりあえず、財布を探せと指示したところ、

今朝まであったなどといいながら、部屋のあちこちを探し始めました。

というよりも、探すふりをしていた可能性の方が高い。

何と、財布も保険証も玄関先に置いてあった手提げ袋の中に入っていました。

 

要は先程の SOS の電話は、ホンマの SOS ではなく、

眠剤が無くなってしまったので、処方してくれる先生の所へ連れて行けという SOS だったのです。

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前回の診療の時に、今週の土曜日までの眠剤を処方してもらっていたはずです。

つまり、明らかに過剰摂取しています。

過剰摂取したため、土曜日までの5日分が無くなってしまっていたのです。

(写真の薬品は本文とは直接は関係ありません。)

 

僕は以前に、今、診療していただいている先生に、

眠剤が不足した場合の対処法についてお尋ねしましたが、

眠剤離脱症状は専門の病棟への入院加療が必要になるということで、

とりあえずは、連れてくるようにというアドバイスをいただいていました。

 

錯乱状態を装い、SOS を発したつもりになっていた親父は、

妙に落ち着いた様子で、僕のクルマに乗り込みました。

そして先生の前でも、過剰摂取をしたかもしれないと殊勝な物言いをします。

 

あのくそジジィは、眠剤を手に入れるために、己を騙し、そして僕も騙しています。

センセイは、これまでの眠剤とは異なる睡眠導入剤を処方してくださり、

薬局によって薬を入手した親父を乗せて、帰途につきました。

 

オヤジのアパートに帰る途中であのくそジジィ、

近所の丸亀製麺に連れて行ってほしいと抜かしました。

もちろん、拒否しました。

宅食サービスの弁当が今日も届くことになっていたからです。

 

11時40分に親父を送って帰宅しましたが、

僕の今日の午前は、眠剤使用障害当事者の、

何としても当該薬物を入手するという執念に付き合わされることになりました。

 

薬物使用障害当事者の当該薬物を入手する際の信じがたい執念、

もちろん、僕たちも同じ罪を犯しています。

僕にももちろん経験があります。

だからこそ、親父の猿芝居に心底、腹が立ちます。

 

明後日、親父を新しい施設に入居させます。

環境が変わることで、少しでも良い方向に向かえばいいのですが、

しかし高齢者の薬物使用障害の克服は、簡単なことではないでしょう。

 

アルコールであれ、覚醒剤であれ、そして睡眠剤であれ、

神経系に明らかに働きかける物質、つまり薬物の恐ろしさをあらためて考えます。

僕たちは、二度と間違いを犯してはなりません。

断酒ライフ、しっかりと継続していきましょう。