アル症・肝硬変・早期がん・昭和のおっさん、成人病のドン・キホーテ、リスボン、58歳。
本日もリスボンの、ノープラン・ブログ、ご訪問ありがとうございます。
僕は基本的には信心深い人間です。
ただし、特定の宗教や宗派に帰依しているというわけではありません。
歴史の中で、様々な時代の英知を蓄積し、現代に伝えられ、現代においても真剣な実践がなされている信仰、
それらに対しては深い敬意を感じます。
従いまして、仏教寺院を訪れた際にはご本尊様に手を合わせ、キリスト教教会を訪れた際には十字架上のイエスに向かって頭をたれ、モスクを訪れた際にも、一礼を捧げます。
また、神社を訪ねた際には、穢れを清めてから神様にご挨拶申し上げます。
ですので、特定の神様を信仰しているというよりも、
英知や倫理、そして文化の蓄積に対して、
歴史を形作ってきた有名無名の先人たちに対して、
僕も学ばせてください、という気持ちです。
新興宗教なぞという怪しげなもの、
特に現存する、あるいは現存していた個人を神のごとくあがめる怪しげなものには、
社会学的な不思議な現象としての好奇心はありますが、宗教的な、あるいは文化的な関心は全くありません。
特定の神様に対する信仰というよりも、真実の存在を信じ、そこに身を任せようとした先人たちの気持ちに尊敬の念を抱いております。
そんな僕の信仰心ですが、でもおそらく一番僕の精神生活に影響を及ぼしてきているのは、仏教だろうなと思っています。
高校生の時に（なんと40年以上も昔です）読んだ経典の現代語訳、並びに仏教の解説書を読んで、
仏教の哲学的な側面に強く惹かれました。
また同じころに、仏像の魅力にも惹かれ、お寺大好き少年が生まれました。
そんな僕が、ご縁がありまして、今、滋賀県に住んでいます。
滋賀県には、日本の仏教の原初の地、比叡山延暦寺があります。
延暦寺の仏教僧の修行といえば、有名なのが千日回峰行です。
比叡山の自然や文化の中にある数多の仏を礼拝し、合計、千日間、峰々を歩き、
修行の途中には、九日間に及ぶ不休不眠不臥の護摩焚きを行う、まさに決死の修行です。
海外からの留学生も、Discipline of running monk として知られていますが、
しかし比叡山には、千日回峰行と並ぶ、
あるいは千日回峰行を満行された阿闍梨様ですら、あちらは無理だとおっしゃる、もう一つの厳しい修業があることは、
あまり知られていません。
それが、十二年籠山侍真の行です。
十二年間にわたって延暦寺の中で最も神聖な地である浄土院の結界から一歩も出ず、
あたかも最澄が今も生きているがごとくお仕えするというこの行、
千日回峰行が動の修行であるのに対して、静の行と呼ばれることもあるそうです。
千日回峰行の厳しさは、これまでも様々な映像記録に残されてきましたし、僕も何本かは見たことがあります。
しかしこの侍真の行は、あまり映像記録がありません。
一つには浄土院自体が聖地であることと、最澄の御廟が侍真の僧以外は足を踏み入れることの許されない、聖域中の聖域であることも関係しているでしょう。
そしてこの行自体が、あまりにも地道な毎日の繰り返しであることも、映像化するという関心を呼んでこなかったのだと思います。
僕にとって侍真の行とその修行を行っている修行僧の存在は、入院生活の心の支えになっていました。
僕の病室からは、幸いなことに比叡山を見ることができました。
もちろん延暦寺の建造物はすべて、下界から望むべきもないのですが、
時に入院生活の退屈さにめげそうになった時に、
浄土院のあるあたりを見て、あそこで侍真の行に取り組んでる先生がいらっしゃると思うと、
気持ちを新たにすることができました。
現在の侍真の先生は、かなりお若い先生だそうです。
しかし厳しい延暦寺の山門会議を経て修行に入ることが許された先生ですから、
僕たち、一般の俗物が足元にも及ぶことの許されない素晴らしい先生だと思われます。
そしてその侍真の先生が今も最澄にお仕えしているということに気持ちをはせてみると、
たいがいのめんどくささは乗り越えられそうな気がします。
これも信仰の一つの形だとすれば、僕は信心深い人間だということにもなりそうです。
断酒ライフも仏様の教えであると考えることもできますよね。
ですので
皆さんも僕も、今日も明日も、厚かましくも謙虚にかつご機嫌さんで
LWOA Life Without Alcohol 断酒ライフ、継続していきましょう。
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