飲酒歴40年、断酒歴3年と10か月、不良初期高齢者、リスボン、61歳。
本日もリスボンの、若気の至り・ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。
今度の日曜日の昼間、BS・NHKで懐かしい映画が放送されます。
ウンベルト・エーコ原作、ジャン=ジャック・アノ―監督、ショーン・コネリー主演、
中世のイタリア北部の教会を舞台にしたミステリー?
「薔薇の名前」です。
原作者のウンベルト・エーコは、記号論や中世史を専門とする思想家であり、
「薔薇の名前」の翻訳が刊行されたときは、
初版本を是非とも読みたいと思い、
京都の街中の大きな書店に急ぎました。
若手研究者としての生意気な元気さの中で、
思想に対する吸収欲求が人生の中でマックスだった頃です。
小説「薔薇の名前」は、非常な長編で、
それほど読書速度の速いほうではなかった僕は、
複雑な登場人物の関係を何度も確認しながら、ゆっくりと読み進めました。
息をつかせぬ終盤の展開に目をくらませながら読み終わりましたが、
いくつもの疑問も残りました。
でもそれら残された謎も、いわば読書の楽しみであり、深みであると感じました。
映画化されたときはすぐには飛びつきませんでした。
あの複雑極まりない殺人事件の数々と、その奥にある哲学やキリスト教教義の秘密が、
そう簡単に映画化できるわけはないと思っていました。
たしか1、2年ほど後に映画を見ましたが、
映画は映画として独自の作品として成立していました。
主人公、ウィリアム修道士を演じた、スキンヘッドのショーン・コネリーは文句なしにかっこよかった。
ウィリアム修道士の弟子、アドソを演じたクリスチャン・スレーターも好演でした。
特に、ウィリアム修道士の薫陶を受けて、成長し、どんどん生意気になっていくアドソの姿は、
世間知らずの研究者として生意気盛りだった僕自身とも重なりました。
残念ながら今回のBSの放送は、日曜日ですが、仕事に出ていますので、
見ることができません。
しかしいずれ見ることもあるでしょうし、
また小説を読み返してみるのも面白いと思います。
61歳になった僕にとって「薔薇の名前」は、
小説も映画も、また新しい魅力的な世界を開示してくれることでしょう。
若いころの僕の生意気は、
一度死にかけ、そして精神疾病とともに復帰した僕の中にまだ生きているでしょうか。
それとも、僕も少しくらいは円熟しているでしょうか。
歳を取ること、結構、おもしろいことかもしれません。
皆さんも僕も、今日も明日も、厚かましくも謙虚にかつご機嫌さんで
LWoA Life Without Alcohol 断酒ライフ、継続していきましょう。