僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

ヒットエンドラン強盗に見る薄っぺらな絶望

飲酒歴40年、断酒歴7年と3カ月、不良初期高齢者、リスボン、レベル64。

本日もリスボンの、ホンマにヤバイって・ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。

 

今日は時事ネタです。

といっても、詳しくはよく知らなかった事件についてですが、

8日に銀座の高級時計店に仮面をつけた4人組が堂々と押し入り、

ショーケースをたたき割って高級時計等を盗んで車で逃走したのち、

1時間後に現場から3キロほど離れた地点で、身柄が確保されたそうですね。

そしてその4人組が全員、10代の若者だったということで、

様ざまなタイプのメディアが取り上げています。

 

 

この4人は、互いに知らない同士だったようで、

いわゆる闇バイト感覚で犯行に及んでしまったという見方がされてます。

いろいろと現代社会の歪が集約された事件だと思いますが、

僕はたまたまテレビで見た、若新雄純氏の発言に少し、考えさせられました。

くだんの発言はネットニュースにもなっていますので、

貼り付けておきます。

 

若新雄純氏 闇バイトで罪犯す少年に“人生台無しになる”は「勝ち組の上から目線の発想」若者の空虚感指摘(スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース

 

若者たちが将来に及ぶ深刻なリスクについて深く考えず、

目先の好条件にやすやすと乗ってしまう軽薄さについて非難する見方が一般的ですが、

若新氏は、

そもそも若者たちが将来にほとんどポジティブな意味を見出していないことに、

問題の本質があるのではないかと指摘しています。

 

僕は若者文化にそれほど詳しいわけではありません。

スマホも使わず、日本語の乱れを大いに嘆く、20世紀の遺物然とした生き方を貫いています。

仕事を通して若者たちとじかにかかわっていますが、

幸いなことに僕が関わる若者たちは、まだ人生に希望をもっている諸君です。

 

ですが、若新氏の指摘は、今日の若者たちの一面の真理を着いているようにも思いました。

彼女・彼らの生活は、表層的には僕たちの若かったころよりも豊かです。

でも、彼女・彼らは、思想や社会の本質に迫るというめんどくさい作業からは明らかに逃避します。

その結果、身体化され得ない情報というレッテルを貼られた薄っぺらな知識の獲得をよしとし、

人間関係のぶつかり合いや、身体と精神の混然となったリアリティーの問題からも身を引きます。

 

薄っぺらな感性を通して得られた薄っぺらい知識に基づいて、

目先の薄っぺらい金銭報酬の前に自己の貴重な存在性をいとも簡単に差し出してしまいます。

 

この薄っぺらい絶望的な価値観の横行は、もちろん、由々しき事態です。

若者たちに薄っぺらい価値観をもたらしたのは、

僕たち、高齢者世代です。

僕にできることは、

たとえウザがられ、嫌われても、

僕たちの感じている危機意識を彼女・彼らにぶつけることでしょう。

 

僕には教室で吠えるというチャンスが与えられています。

精神疾病の地獄の波打ち際から生還した鬱陶しいジジィは、叫び続けます。