飲酒歴40年、断酒歴7年と7カ月、不良初期高齢者、リスボン、レベル64。
本日もリスボンの、僕は目くじらは立てません・ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。
ウィリアム・モリス、デザイン史の世界では絶対に外すことのできない、
超重要人物です。
僕も専門家の一人ですので、モリスについて語り始めると、
5時間くらいは話すことができます。
19世紀のイギリスで活動した、工芸家、アート・ディレクターであり、
そして詩人としても重要な作品を残してくれてます。
今日はふと思い立って、地元のスーパーの中に入っている、百均に行きました。
何か買おうかなというよりも、侮れないという噂の百均グッズを発掘するためでした。
もっとも僕の場合、
ショッピングを楽しんでらっしゃる女性のお姿をめでるという目的もありました。
そんな中、お一人の女性のショッピングバスケットにふと目が釘付けになりました。
先ほど紹介しました、ウィリアム・モリスの有名な壁紙のパターンデザインが目に飛び込んだからです。
早速、彼女がバスケットに入れていた商品を探しました。
アミファ社製のランチ・パッキング・クロスということで、
僕も2点ほど、購入しました。
僕はモリスの制作した壁紙は、何点か、実物を見たことがあります。
さすがに購入したアミファ社製のクロスは、
色彩の面では、モリスの壁紙の素晴らしさには足元にも及びません。
恐らく、適当な写真データから適当に版を起こして商品化したのでしょう。
デザイン倫理の面から言えば、あまり褒められた商品ではありません。
モリスは1896年に亡くなっていますので、著作権の問題はないのかもしれません。
また商品のタグには、モリスのデザインであることが、小さな字で明示されています。
恐らく、モリスの芸術性を重視し、高く評価する人たちからすれば、
僕の購入したアミファ社の製品は、許しがたいものかもしれません。
でも僕の感じ方は少し違います。
モリスは、労働者の生活空間を芸術的に高めていくことを生涯の目標にしていました。
モリスが亡くなってから130年近くたっています。
モリスのオリジナルデザインは、あまりにも高価なため、
僕たち、低所得者の生活空間を彩ることはありません。
しかしモリスのデザインの、やや質の落ちたバッタもんが、
百均という、現代の庶民のぎりぎりのサバイバルがぶつかり合うマーケットで販売されています。
モリス本人は、この事実をどう受け止めてくれるでしょうか。
僕は、モリスは案外、喜んでくれるのではないかと思っています。
僕は今回のランチ・クロスを、ハンカチとして使おうと思っています。