僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

神になりたかった男

飲酒歴40年、断酒歴7年と8カ月、不良初期高齢者、リスボン、レベル64。

本日もリスボンの、これも一つの歴史証言・ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。

 

時々、本ブログでも告っていますが、

僕は、宗教全般について、硬軟両方の観点から興味があります。

 

デザイン史という美術史系の研究を一つの専門にしている関係から、

キリスト教については、西欧文化の基本の一つとして、勉強していますし、

中学生の頃から、仏教にも強い関心をもっていました。

21世紀に入ってからのことですが、

イスラムについても関心が芽生え、全く身に着いてはいませんが、

アラビア語の勉強もしました。

 

そしてジャーナリスティックな関心の方が強くなりますが、

新興宗教にも、際物的な関心をもっています。

何故人びとは、荒唐無稽な教義に魅かれ、

時には人生を棒に振るほどの労働や金銭のような犠牲を払うのか、

不思議で仕方がありません。

 

そしてそれら怪しい新興宗教の中でも、幸福の科学は、

オウム真理教ほどのエキセントリックさはないにしても、

その教義の異常さは、なかなかのものであり、

僕にとって、目を離すことのできない団体です。

 

そして最近、亡くなった教祖、大川隆法の長男、宏洋氏による、教祖に対する評伝?

「神になりたかった男、回想の父 大川隆法」が出版されました。

昨日、大型書店でようやく、この本を見つけましたので、

申し訳ありませんが、半分ほど、立ち読みしてしまいました。

 

宏洋氏は、YouTuber としての活動が知られており、

彼が配信している、幸福の科学や、父、大川隆法を取り上げた動画は、

YouTube ならではの悪ふざけが随所に盛り込まれているので、

真面目な関心で取り上げられることは少ないかもしれません。

 

でも僕は、一代で巨大な教団を作り上げた男の長男として生まれた人物が語った証言として、

宏洋氏の YouTube 動画には、社会学的な資料としての価値はあると思います。

そしてその彼が、恐らくはプロのライターの助けも借りながら書いたであろう、この書物は、

印刷物の形をとった、貴重なアーカイブの意味があると思っています。

 

宇宙の最高神を自称する人物の長男として生まれた宏洋氏の人生は、

ある意味で不幸だったと思います。

宏洋氏は、もちろん、自身の不遇を嘆くような主張は前面には出していません。

しかし宏洋氏が、教祖の一番近くにいた人物であり、

教祖のイエスマンに堕してしまった教団のスタッフとは異なり、

教祖の弱点を最もよく観察できた人物であったことは、間違いないと思います。

 

学術的な資料として耐えうる書物かどうかは、

今後の判断に委ねるべきでしょう。

でも、奇妙な時代を生きている僕たちの時代の記録であることは間違いないと思います。