飲酒歴40年、断酒歴7年と9カ月、不良初期高齢者、リスボン、レベル65。
本日もリスボンの、少しは学んだかな・ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。
高校までの僕は、美術にはあまり縁がありませんでした。
絵が巧いということもなく、工作はどちらかといえば下手くそ。
そんな僕がうっかり大学でデザインの勉強を始めてしまい、
デザイン史やデザイン論をはじめとする美術関係の研究者になってしまいました。
人生って、変なの。
変な人生でしたが、
でも大学入学以来、一応、アートやデザインの理論面での専門家という肩書で生きてきました。
殆ど、詐欺師です。
昨日、勤務先の大学での来年以降の再雇用がほぼないことが明らかになりました。
かなりの失意を覚えながら帰宅しましたが、
家に帰り着いたとたん、
パートナーから依頼されていた拙宅の庭のヤシャブシの枝打ちをしようと思いつきました。
心が折れそうなときは、身体を使うことで乗り切ろうという、単純な発想です。
拙宅の庭のヤシャブシですが、電線に絡みそうなくらい、道側にはみ出ています。
そこで、道側の太い枝を思い切って切ってしまうことにしました。
しかし、我が家にはチェーンソーも斧もありません。
あるのは、小型の片刃の鋸のみ。
しかし悩んでいても仕方がないので、
とりあえずは、切り始めました。
そして少しばかり太い枝に鋸を入れながら、少し手間はかかりますが、
斧での切込みのように、V 字型に鋸の歯を入れることで、
確実に切ることができるのではないかと考えました。
1か所の太い枝を落とすために、その枝に4本から5本の切込みを入れてみました。
そうすると、確かに時間は余分にかかりますが、
それほど無理に力をかけなくとも、ある程度の太さの枝を落とすことができました。
作業の成果を早く上げたいときほど、作業前にプロセスの全体像を思い描き、
そして決して焦らず、そして力任せにすることなく、
確実に一つひとつのプロセスを進めていくことが大事でした。
若い頃の僕は、ムチャクチャ、イラちで、
とにかく結果を急ぎました。
でも50年近く、様ざまなアートの現場に関わることで、
アーティストたちが、常に慎重に作業を進めていく様を、
まじかで見てきました。
そして確実に美しく、しかもできる限り効率的に造形を展開するためにアーティストは、
ゆっくりと作業を進めていたのです。
ヤシャブシのふと枝の撤去作業、
時間をかけたようですが、確実に遂行することができました。
アートと関わり続けた四十数年間、
その成果は、案外、こんな身近な発見というか、納得にあったのかもしれません。
華やかな成果だけが人生の目的ではないようです。
イラちでやたらと作業が雑だった若者が、
確実に一つひとつの作業をこなすようになったこと、
ちっちゃなことです。
そしてほとんどの人にとっては、最初からできることだっと思います。
でも ADHD の可能性の高い僕にとっては、とてつもなく大きな人生の成果だったように思います。
なんだかよく分からない話を読んでもらったかもしれません。
でも、僕の風変わりな人生の中で、身につけたことの一つについての、
たしかな物語ではありました。
いくつになっても、きっと新しい発見があると思います。
何回もつぶやいてきましたが、
ホンマに酒ごときで命を落とさなくてよかった。
これからも断酒ライフ、断固として継続します。