僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

Coming Out

ビールの季節です。
ビールが美味そうと思う瞬間はまだありますが、飲みてぇ!とは思わなくなりました。
ただ、ビールは、お茶やミネラルウォーターと違って、料理とともになんぼでも飲めるんですよね。
不思議です。

食事も含めて、体内に摂取するものに対して、少しは深く考えるようになりました、アル症と肝硬変とトリオを組んでます、
リスボン、57歳。

本日も、ノープラン・ノープラン・ノープラン・ブログ、ご訪問、ありがとうございます。


カミング・アウト、といいますと、一番最初に思い浮かぶのは、性的少数者の方による、身近な周囲の人びとに対する告白なり、決意表明ですよね。
大変なことだろうな、と想像します。
今では、マスメディアが性的少数者のことを取り上げる機会も増えてきました。
また、学生から「実は・・・」という告白を聞くこともたまにあります。

でも、ついこの間までは、同性愛者に対しては、キモイ、性同一性障害の方に対しては、理解できない、という反応が一般的でしたよね。
というよりも、現在でも本音の部分では、ほとんどの異性愛者は同性愛が理解できないでしょうし、性同一性障害という人格の在り方に関しては、僕も想像すらできない対象です。
しかし、彼女/彼らは、決して圧倒的な少数者ではないことも、明らかになってきました。
僕たちは、(ちょっとした、でもホンマの根拠は弱い)多数決の論理と、その論理に基づく情報伝達の慣習によって、彼女/彼らを、モンスター視してきたしまったんですよね。


さて、僕たちの問題です。

僕は、僕の周囲の人びとに対して、現在のところ、選択的にしかカミング・アウトしていません。

家族は、カミング・アウトするもしないも、入院前と入院中、そして退院後についても知っていますので、当然、知っています。
(ただし、知っている、ということと、理解している、ということは、イコールではありません。)

問題は、仕事関係者です。

大学の教員という、ある種のイメージ商売についている関係で、(かなり強い露出願望とともに生きています)僕でも積極的なカミング・アウトができていません。

特に僕の勤めている大学は、多くの中小規模の大学と同じく、教育や研究よりも、学生募集のほうが優先される、ビジネス体です。
アル中の先生がいる、ということが、大学のイメージ戦略にとって、プラスには働きませんよね、今のところ。

現在のところ、ほとんどの同僚に対して、僕がアル症であることは、伝えていません。
唯一の例外は、教育学を担当され、発達障害児童の教育に対して関心をもって研究している同僚で、彼にはあっけらかんと伝えてあります。

学生諸君には、伝えようがありませんし、そもそも伝える必要はないかもしれません。

ただ、仲良しの天使ちゃんには、割と早い段階でカミング・アウトしました。
以前にも報告しましたが、若い天使ちゃん、身近に精神疾患の人間がいることで、ショックを受けていたようです。
(天使ちゃん、びっくりさせてごめんね。でも、僕は僕ですよ。)

そして、僕が次に気になっているのが、研究上の仲間たちです。

以前から決意表明をしていますように、3年以内に、アルコール使用障害を学問的な対象として取り上げることの可能性について、しかるべき学術的な場で発表しようと思っています。
ですから、やがては公的に堂々とカミング・アウトすることになります。

それ以前に、特に親しい研究仲間たちにどのように伝えるべきか、どのような機会やタイミングでカミング・アウトすべきか。

少しばかり悩みました。
特に、とある学会で知り合い、親しくさせてもらっている女性にどのようにカミング・アウトすべきか。

彼女には、カミング・アウトしなければならない、と感じていました。
それは、僕が彼女に対して抱いている、勝手な同志感に基づいています。
僕は、親しい学生たちには冗談半分ですが、その女性のことを学問上の恋人と呼んでいます。

意を決しまして、先日、告白メイルを送信しました。

ご返事をいただくのに少しばかり時間がありました。
ご返事の文面には、はっきりとは書かれていませんでしたが、おそらくは驚き、戸惑いを感じられたに違いありません。
しかし、僕のいろいろな決意表明について、また話を聞きたいということで、メイルが閉じられていました。
おそらく、彼女は(ホンマに良い飲み友達でしたが)、アル症の僕を受け入れてくれたと思います。


正直、メイルをいただくことができ、また、これからもよろしくというご挨拶をいただくことができたことに、ほっとしました。

強がりを言っても、僕たち、アル症者はいろいろと弱い存在です。
自分のありのままをカミング・アウトする、そこにもいろいろと躊躇を感じてしまう連中です。

でも、強がりと弱さ、どちらも受け入れていきましょう。

そんなわけで、皆さんも僕も、今日もご機嫌さんで、
LWOA Life Without Alcohol 断酒ライフ、継続しましょう。