僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

先見の明はなかった・・・

寒くなりました、あきらめて衣替えを決意しました、リスボン、58歳。

本日もリスボンの、人生振り返り・ノープラン・ブログ、ご訪問ありがとうございます。


おそらく高校生までの僕は、世間知らずの井の中の蛙でした。

そりゃぁ、伊豆半島の先っちょという、かつては流刑の地であった最果ての地で多感な時間の前半を過ごしたわけですから、
世間は狭くなりますよ。

特に僕の育った下田という街、狭い平地部分が山に囲まれていますので、空が狭い狭い。

広い世間なぞ、知りようがないわけです。

ところがこのよく言えば純朴な青年も、大学から京都で暮らし始めます。
大学の町、京都には、地元の関西人のみならず、日本中から様々な若者が集まってきます。
ど田舎の秀才は、ちょっと変わったただの人に落ちぶれました。

しかしこのただの人、ちょっとやそっとではただの人に収まらず、世間一般の考え方とは異なる道を歩むことによって、
またも井の中の蛙人生を歩み始めます。

ちょこっとばかり屁理屈が得意であったため、芸術の理論研究というやくざな道にはまっていきます。

そしてこの、美学・芸術学という名前でくくられることの多い学問領域、
ほかの人がやっていないことに取り組むことが求められるので、
仕事の成果について客観的な物差しよりも、独自性、あるいは独創性というわがままのほうが評価されるきらいがあります。

そして勘違い青年、リスボン君は、ここでも勘違い、井の中の蛙人生を継続していきます。

井の中の蛙人生を継続していく中で、今務めている大学の専任教員としての職にありつきました。

この時点ではめでたし、めでたしでした。

あの頃はボーナスもしっかり出たしなぁ。

ただし、僕たち、バブルがはじけた直後に働き始めた大学教職員は、
みんな揃いも揃って、先見の明がなかったのです。

現在、ほとんどの私立大学は、超有名校を除いて、定員ぎりぎりの入学生を確保することにアップアップしています。

その結果、何回もこのブログで情けなくも告白していますが、
僕個人のレベルでいえば、
年収は、最盛期から比較すれば、半減に近い。
おそらく、300万円近くは減ったでしょう。

私立大学の収入減は、基本的には学生諸氏の学納金です。
したがって学生数を確保できなければ、収入は減り、最もカットしやすい支出である人件費が削減されるのです。

でこの現状は、落ち着いて考えれば、20年前には十分、予測できたのです。

なぜなら、少子化は確実に進展していたから。

20年前の時点で、何らかの対策を立てることは、本当なら、できました。

しかし、ほとんどの大学は、頭では近い将来、とんでもないことになることは理解していながら、

何とか毎年、定員以上の学生を確保できていたりするので、現実的な問題として取り組むことはできなかったのですね。

僕自身を振り返ってみても、
何回か、大学改革のためのワーキング委員会の構成員を命じられたことがありました。
しかしそのころの僕には、やがてやってくる悲惨な状況が全く想像できませんでした。

僕たちは、先見の明がなかった。

つまり井の中の蛙、ホンマに井の中の蛙であり、
大所高所から物事を考えるなぞという、優れた能力は持ち合わせていませんでした。

たられば、で話をすれば、あの頃に画期的なアイデアを編み出していれば、
少なくとも金銭的にはもっと余裕のある人生だったのかなぁ、とも思います。

でも、小金があったらあったで、まためんどくさかったかな。

僕の場合、最悪の事態は、
ダラダラと飲酒者の生活が続き、中途半端に体を壊し、中途半端な病状ゆえに医者にもかからず、
そして当然のごとく自身のアル症も認識せず、
好きな酒がたっぷり飲めていい人生だったと勘違いしながら、早死にすることでしょう。

幸か不幸か、体を言わしてしまいましたので、心身ともに病人であるという自覚を持つことができ、
断酒ライフに入門できました。
おそらく断酒ライフのおかげで、少しは長生きするでしょうし、断酒者ならではの幸せや喜びも味わえそうです。

井の中の蛙人生、全然パッとしませんが、本人としては、かなり楽しめているような気がします。

お金がないことも、案外、悪いことではないかもしれません。
ほしいけどね。

まだまだ楽しみますじぇ。

そのためにも

皆さんも僕も、今日も明日も、厚かましくも謙虚にかつご機嫌さんで
LWOA Life Without Alcohol 断酒ライフ、継続していきましょう。