僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

惰性・妥協・安定?

飲酒歴40年、断酒歴2年と8か月、不良初期高齢者、リスボン、59歳。

本日もリスボンの、今後の教訓にできるかな・ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。



今日は、プロの芸術家とは誰かということについて、少し考えてみます。

プロの芸術家の資格、
いったい誰が認定するのか、
どのようにすれば認定されるのか、
どのような認定の過程があるのか。


結構、めんどくせぇ問題です。

僕の場合、
美術家やデザイナーを育成することを大義にしている大学で仕事をしていますので、
まず、造形芸術の分野でこの問題について、日々、考えざるを得ません。

そして、
大学を定年退職したのちは、
かましくも音楽家として生きていきたいと思っていますので、
プロのミュージシャンとは誰かという問題ともかかわることがあります。


どちらの分野でも一番、多くの人に納得してもらいやすい考え方は、

芸術活動やその成果が生活の糧を得る一番大きな収入源となっている人、
それがプロのアーティストの最低条件であるというものでしょう。


しかしこのきわめて分かり易い捉え方は、
プロを自称する人びとにとっては、時に受け入れがたいことがあります。

というのも、例えば、絵描きの場合、
売れる絵を描く人がプロということになりますが、

そのような人は売り絵を描くという、プロとして最も情けない道に堕してしまったアーティストとして、
蔑まれることになりかねません。


楽家の世界でもそうです。

特にジャズの世界では厳しい見方がありまして、
ナイトクラブ等で雰囲気づくりのために雇われ、そのような音楽で生計を立てているミュージシャンに対して、

バイショウ野郎という蔑称で呼ぶことがあります。


バイショウとは商売のミュージシャン隠語です。

ちなみに若いころの僕は、完全にバイショウ・ピアニストでした。

僕にもミュージシャンの友人がいましたが、
バイショウ男としてバカにされていたと思います。


つまり美術でも音楽でも、
大衆に迎合することなく己の信ずる表現を貫くアーティストこそ真の芸術家ということになるようです。

当然、そんな連中は、生活ができません。


そこで美術でも音楽でも、自称、アーティストたちは、先生として月謝で生活費を稼ぐのです。


僕たち、大学の教師も同じです。


僕はそういう意味で大学の同僚のアーティスト?たちを、ホンマのプロとは認めていない部分もあります。


ホンマの芸術家って、どんな人たちでしょうね。



若いころの僕は、とにかく若さの特権とばかりとがっていましたから、
大衆に迎合する芸術家は絶対に認めませんでした。


しかし最近では、
むしろ、大衆に迎合するのではなく、

多くの人とともに喜びを分かち合えるような表現、
そのような表現をしっかりと提供できる専門家こそプロとして尊敬されるべきではないかと、
考えるようになってきました。


海外で多くのストリート・ミュージシャンやストリート・アーティストに出会って、だいぶ感じ方が変わりました。


コンサートホールをフルハウスにするミュージシャンもミュージシャンですが、

人びとの毎日の生活の中にちょっとおしゃれな時間を提供できる人もミュージシャンでしょう。



権威に頼ったり、権威におぼれたりすることなく、

素朴な感覚で出会いや共感を大事にしながら、
毎日、創造や表現を継続できる人、

そんな人がアーティストなんじゃないかな。

そんなミュージシャンを目指しますので、酒を飲んでるヒマがありません。

いつものように

皆さんも僕も、今日も明日も、厚かましくも謙虚にかつご機嫌さんで
LWoA Life Without Alcohol 断酒ライフ、継続していきましょう。