僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

ケンジさん

飲酒歴40年、断酒歴3年と8か月、不良初期高齢者、リスボン、60歳。

本日もリスボンの、今日のうれしかったこと・ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。

 

僕にとって今日は研究日ということで、

本来であれば、のんびりと自分のペースで勉強してよい日なのですが、

結構、バタついた一日でした。

 

午前中は、いくつかの重要な事務作業をこなし、

昼からは福祉施設を1か所訪ね、さらにこの冬に行う展覧会のうちあわせのために県庁を訪ねました。

 

今日、一番、印象に残ったのが、ケンジさんです。

今日、訪問した福祉施設は、知的障害者の就労支援施設ですが、

昨年から月に1回、アートワークショップのインストラクターとして定期的に訪れています。

 

ケンジさんは、そこの利用者の一人で、

御年、40くらい、言葉は獲得されていないくらいの知能年齢の男性です。

ケンジさんは基本的にはぶっきらぼうな人で、

どちらかといえばとっつきにくい方なのですが、

さすがに初めてお会いしてから1年半たちますので、

僕のことは、たまにものつくりを教えに来る、けったいな奴くらいの認識はしてくれていると思います。

 

今日のケンジさんは、いつもにましてナイスでした。

彼は自分の気に入った作業は、非常に手早く取り組んでくれます。

今日もいい調子で、ビニールテープを裂いたり、ガムテープをボール紙に貼ったりしてましたが、

ある程度作業が進んだ段階で、彼は自分の作品をもって部屋の入り口近くの壁に行き、

自分で作品を壁に貼り付け、展示してくれたのです。

僕は今日は、作品を壁に展示する指示は一言も出していませんでした。

しかしケンジさんは、多分、自分の作業の結果としての作品が気に入ってくれたのでしょう、

自らの意志で作品を展示してくれたのです。

 

これには驚かされました。

そしてとてもうれしい事でした。

知的障害とともに暮らしているケンジさんの、

新しいふるまいを引き出すお手伝いができたようです。

 

障害者福祉の現場では、たまにこんなちょっとした奇跡が起こります。

絶対に誰とも目を合わさなかった強度の自閉症者と目と目があい、微笑みあう、

聴こえてはいないはずの僕の呼びかけに振り返ってくれる、

それまでは顔を合わせることもなかった人が、扉を開けた瞬間に全身でウェルカムを表現してくれる、等等々。

 

こんなことがあるから簡単に死ぬわけにはいかないんです。

 

多分、僕は果報者です。

ですので、

 

皆さんも僕も、今日も明日も、厚かましくも謙虚にかつご機嫌さんで

LWoA Life Without Alcohol 断酒ライフ、継続していきましょう。