僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

三歩進んで二歩下がる

飲酒歴40年、断酒歴3年と11か月、不良初期高齢者、リスボン、61歳。

本日もリスボンの、能天気ポジティブ・ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。

 

何かの技術をマスターする過程には面白い性質がある気がします。

それは何かというと、

ある日、突然、それ以前にはできなかったことができるようになるという、

劇的な進化の瞬間があるということです。

 

例えば自転車の乗り方をマスターするプロセスですが、

僕は多分、平均的な男の子よりも、どんくさかったようで、

はじめてチャリの乗り方をマスターしたのは、小学校3年生の時でした。

ですので、比較的、はっきりとその時のことを覚えています。

 

ある日、思い立って、自転車の補助輪を両方とも外し、

よたよたと練習を始めました。

それまでは、6歳年長のいとこが練習を手伝ってやるといっても、

ビビって補助輪を外すことに断固として抵抗してきたのですが、

何故かその日は、自分の意志で外しました。

そして一人で何度もこけながら練習を繰り返しました。

コケる痛みを感じた記憶がありません。

何度もこけるうちに、ホンマに突然、乗れてしまいました。

何がきっかけだったのかは、もうわかりません。

あえて言えば、脈略もなく、しかし妙な自信をもって補助輪を外したことでしょう。

その後、じわじわとマスターしたということはありません。

 

それからこれは僕が学生によく言うのですが、

外国語の能力も突然、進化します。

僕の英語のリスニング力も、ある日、突然、格段の進歩を遂げました。

もう20年以上前の話ですが、

僕の家から一番近い図書館で、1本の英文のカセットテープを借りました。

イギリスの小説家、ジェフリー・アーチャーによる、自作小説の朗読テープです。

そして幸か不幸か、本来はテープとセットになっているはずの原本はその図書館から紛失されていました。

早速リスニングの練習を始めましたが、

アメリカ式の英語になれていた僕にとって、ほんまもんのイギリス英語はちんぷんかんぷんでした。

でも毎日、それこそ我慢しながら聴き続けていると、

ホンマにある日、それまではよくわからないサウンドの連続でしかなかったアーチャーの声が、

一定の意味の連なりとして僕の耳に飛び込んできました。

自分でも驚きました。

これもホンマに、突然のできごとでした。

一度、聴こえるようになると、急速に分かるようになっていきました。

 

そして今日のことですが、

午前中に1コマ、授業を行い、

午後は別の授業の学生の提出物の添削を行いました。

3時半過ぎに、少しよれよれになりながら(少し盛っています)添削作業を終え、

研究室の電子キーボードでピアノの練習を始めました。

基本練習を終えたのち、

YouTube 上に公開されているマイナスワン音源に合わせて、ジャズのアドリブの練習に取り掛かりましたが、

今日は、新しい音の組み立て方の感覚が、突然、つかめました。

曲は、割とよく練習している、いわゆるジャズのスタンダード・ナンバーですが、

左手の和音も新しい組み合わせが見つかりましたし、

右手によるアドリブ・メロディーも、今までとは違うテイストのシークエンスを紡ぎだすことに成功しました。

昨日も自宅のピアノ練習室で練習を繰り返していましたが、

昨日の段階では、少しマンネリに陥っているなと思い、

やっぱ、俺も凡人だなと反省していたのです。

ですので、今日の突然の進歩はうれしかった。

 

多分、毎日、地道な実践を繰り返すことで、

突然の階段状の進化が訪れるんだと思います。

特に楽器演奏の場合、スポーツのトレーニングと通じる部分があるんでしょうね、

さぼるとてきめんに演奏に現れます。

 

毎日の地道な、でも確実な積み重ねが、突然、ポジティブな花を咲かせてくれることがあるようです。

断酒ライフも、酒を飲まないという単純な毎日の積み重ねでしかありませんが、

何回もきれいな花を咲かせてくれるような気がします。

僕たちの行く先には、所々に目も覚めるようなお花畑がありそうです。

ですのでいつもの気合を忘れないようにしましょう。

 

皆さんも僕も、今日も明日も、厚かましくも謙虚にかつご機嫌さんで

LWoA Life Without Alcohol 断酒ライフ、継続していきましょう。