僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

息子に語る、建築論入門

飲酒歴40年、断酒歴4年と1か月、不良初期高齢者、リスボン、61歳。

本日もリスボンの、少しは親らしく?ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。

 

今、大学1年の倅が帰ってきています。

 

倅には、僕のアル症の発作が最もひどかった4年半前、

かなりの心労を与えてしまいました。

その時倅は、中学3年生、

人生の最もセンシティブな時期に、

僕の最低最悪のぶざまな姿をさらしてしまいました。

今でも、謝っても謝り切れないと思っています。

 

パートナーがパート仕事に出かけた今日の午前中、

ネットで今回のコロナウィルスに対する日本政府の在り方について、

海外メディアの報道を探っていたところ、

倅が1冊の新書を見せながら僕に話しかけてきました。

隈研吾「負ける建築」、

気鋭の建築家による一般向けの最新の建築論集です。

 

倅曰く、どうにもよく分からない概念が多く、読み進めるのに難渋しているので、

少し教えて欲しいとのこと。

 

僕はこの本自体については初見でしたが、

倅から本を受け取り、目次を確認することで、

この著作の狙いや性格について、だいたいのところが読めました。

そして倅が何につまづいているのかもほぼわかりました。

 

建築家が語る建築論は、往々にして難解になりがちです。

ただしその難解さは、薄っぺらい衒学主義ではなく、

建築という造形芸術のもっている本質的な困難さと関わっています。

 

僕は倅に、

建築という造形の特殊な性質、

建築論という学術領域の独自の性格、

そして建築家と建築論の今日的な関係の特殊性について、

説明しました。

さらには、

研究者という職業の社会的役割と、

そのために研究者が重視する地道な考察作業についても説明しました。

 

倅は、専門家である僕の説明に納得してくれたようです。

 

かつてアル症の発作の中で無様な生き様を晒していたくそ親父も、

断酒ライフを全うしていく中で、

立ち直りの過程にあることを見せることができたような気がしています。

 

これからさらに勉強を進めていく倅は、

これから僕の人生のライバルになっていきます。

身近なライバルの存在にしっかりと緊張感をもって、

僕もまだまだ、成長していくつもりです。

 

皆さんも僕も、今日も明日も、厚かましくも謙虚にかつご機嫌さんで

LWoA Life Without Alcohol 断酒ライフ、継続していきましょう。