僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

ジョン・ライドン 僕に歌を歌わせたザ・パンク

飲酒歴40年、断酒歴4年と10か月、不良初期高齢者、リスボン、レベル62。

本日もリスボンの、今日も振り返り・ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。

 

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昨日の続きです。

僕の音楽歴の振り返り、今日も付き合ってください。

 

写真の男、僕の人生を変えたアーティストの一人です。

ジョン・ライドン、セックスピストルズのヴォーカリストであり、

そして PiL パブリック・イメージ・リミテッドのヴォーカリストでもあった、

まさにパンクの中のパンク、ザ・パンクそのものといっていい男です。

 

昨日も書きましたが、

クラシックからジャズやロックに転身した若き頃の僕は、

技術や理論を偏重した、ある意味で偏った音楽志向をもっていました。

特に18歳から23歳までの僕は、

テクニックの追及に凝り固まったキーボード奏者でした。

そのころは、人前で歌を歌うなぞということは、あり得ないことでした。

 

そんな理屈っぽい音楽小僧だった僕に衝撃を与えてくれたのが、

セックスピストルズを勝手に分裂させたのちに、

新たに結成したユニット、パブリック・イメージ・リミテッド PiL で、

世界中のロックビジネス界に破壊的な衝撃をもたらした、

ジョン・ライドンと彼らのセカンド・アルバム、メタルボックスでした。

 

ピストルズの頃から、ジョンのヴォーカルスタイルは破壊的でしたが、

PiL でのジョンのヴォーカル・パフォーマンスは、さらに衝撃的でした。

思い切り切れの悪いだぼだぼのベースに、これまたもちゃもちゃしたドラム・ビート、

そしてひたすらノイジーに不快なサウンドを聴かせるギター、

この不愉快極まりないバンド・サウンドを背景としながら、

現代の呪いとしか言いようのないどうしようもない歌詞を、

ひきつった声で叫ぶジョンの最悪の対マンかましの挑戦状。

およそ音楽的とは言えない、彼ら PiL のサウンドに僕ははまってしまいました。

 

音楽的な美を超えた説得力に僕は初めて出会いました。

 

反抗の音楽と呼ばれたパンクロックも、

音楽的には、プリミティブでシンプルなロックに過ぎません。

セックスピストルズも、

音楽に付随する彼らの行動はパンクと呼ぶことができましたが、

音楽そのものは、

へたっぴーなロック好きのおバカサウンドの域を出ていませんでした。

 

しかし PiL のサウンドは、明らかに異なりました。

その詩の破壊的なメッセージは、理性を嘲笑うかのように鋭く、

その暴力的なサウンドは、すべての衛生的なハイファイ感性に対して挑戦的でした。

 

そんな PiL のジョンの歌声は、僕の音楽的な価値観を揺さぶりました。

そして上手い下手ではなく、本当に伝えたいこと、叫びたいことがあるのであれば、

歌うべきであることを教えてくれました。

 

それから僕は、技術の向上も心掛けながらも、

表層的な小ぎれいさに縛られない、

僕自身のメッセージを音にしていくことに目覚めました。

 

パンクロックの申し子だったかもしれない男、ジョン・ライドン

でも僕にとっては、音楽の、

そしてすべての表現行為の本質に目を向けさせてくれた、

恩人ともいうべきアーティストです。

今でもジョンは、やんちゃに暴れまわっています。

いまだに現役のロッカーです。

僕もジョンのやんちゃぶりを目指します。

そのためにも生き続けます。

 

皆さんも僕も、今日も明日も、厚かましくも謙虚にかつご機嫌さんで

LWoA Life Without Alcohol 断酒ライフ、継続していきましょう。