飲酒歴40年、断酒歴6年と1カ月、不良初期高齢者、リスボン、レベル63。
本日もリスボンの、美は簡潔さの中にあり・ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。
昨晩のライブは、収穫がありました。
6時前に店に到着すると、
3連のシャッターの両側が降りたままで、
でも真ん中は開いており、店の中の照明もついていました。
マスターいわく、
蔓延防止措置が解除されていないこともあり、
また、自己防衛のため、一見のお客さんはお断りするとのこと。
「(気心の知れたお客さんしかお入れおしませんので)練習がてら、気楽に演奏してください」
といわれましたので、
思い切り音数の少ない演奏を心がけました。
ピアノという楽器は、88個も鍵盤があり、
演奏する側も、左右合わせて10本の指を総動員することができます。
ヴィルトオーゾ・ピアニストと呼ばれる巨匠たちは、
ジャンルは何であれ、左右の全ての指を華麗に鍵盤場を走らせます。
僕も若いころは、速弾きを得意としていました。
しかし本格的に歌を歌うようになり、
弾き語りジャズ・ピアニストとしての自覚が確立してからの僕は、
できる限り少ない音で、緊張感と情緒に満ちた音空間を創出することに関心が向かっています。
しかし、音数を少なくするという方法論、
簡単そうですが、いざ取り組んでみると、なかなかの難事業?です。
人間、どうしてもできることはしたくなってしまうものです。
そこをぐっと踏みとどまる。
そして選びに選んだ音のもっている魅力を最大限に活かす。
自信と覚悟と決意が必要です。
聴いてくれる人にも自分自身にも媚びない演奏、マスターの言葉に甘えて、
思い切り試してみました。
かなりいい感じで攻めることができそうな感触を得ました。
途中からドラマーの M さんがやってきましたので、
さらにアンサンブルでも試してみました。
M さんにも僕の狙いは共有してもらえたようで、
互いにスカスカの音作りに挑戦しましたが、
こちらもムチャクチャ、OKでした。
経験値を活かして複雑な音の組み合わせで攻めるのも、ベテランの得意技ですが、
グル~っと一回りして?原点に帰り、
一つ一つの音の意味や美しさをかみしめるのも、
ベテラン・高齢者・ミュージシャンの特権かもしれません。
ちょっと違うかもしれませんが、
綿密な音の積み重ねの魅力を追求するオーケストラが油彩画だとすれば、
ひたすら少ない音で攻めようとするシンプル・ジャズは、水墨画かもしれません。
断酒ライフもシンプルですよね。
アルコール飲料を体内に取り入れない、
神様のお召があるまでそのことを貫き通す。
それだけです。
美の究極の形は、簡潔さの中に潜んでいます。