僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

記録にも記憶にも残らない仕事?

飲酒歴40年、断酒歴6年と5か月、不良初期高齢者、リスボン、レベル63。

本日もリスボンの、これもカウントダウン・ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。

 

今レベル63の僕は、今年の誕生日にレベル64に昇格し、

当然ながら来年にはレベル65に到達します。

僕の勤務先の教員の定年は、レベル65を迎える年と定められていますので、

ホンマにあと1年半で定年です。

 

今日、所属しているセクションの部門会議がありましたが、

その中で、僕がここ8年ほど副担当者としてかかわってきた、

新入生を対象とした大学入門期科目のリニューアルが検討中であることが、

正式にアナウンスされました。

そして言外にではありましたが、

来年度はこの授業を担当しなくてもよい旨を告げられました。

 

あっさりしたもんです。

今日まで一切、聞かされていませんでしたし、

なんの根回しもありませんでした。

 

しかし当然といえば当然でしょう。

カリキュラムや授業内容の見直しを検討する際に、

いちいち前任者の意向を確認していると、

ホンマの意味での改革はできませんし、

時間も手間も無駄にかかります。

 

とはいえ、若干の寂しさもあるのも事実です。

これまでの授業内容は、主担を務める同僚が考案したものでした。

僕の役割は、現場でのサポートであり、

一部に僕の提案した課題を取り入れていただいていました。

以前に投稿しましたが、僕の提案したワークショップ課題の風景です。数万個の紙コップと洗濯ばさみを用いて、学生たちにアート・インスタレーションを制作してもらいました。

主担の彼は、基本的には、学生の前には現れません。

複数の教室で展開される授業を巡回し、

時に学生にアドバイスをし、時に問題点を主担に伝えるのは、

僕の役割でした。

 

毎年、230名近くの新入生と1年間、かかわるこの業務は、

楽しいものでしたが、

1週間のうち、準備と実施、そして振り返りに確実に実働8時間分がとられる、

それなりの業務負担も伴っていました。

 

僕がこの授業を通してどのように勤務先の授業に貢献してきたか、

具体的な記録は残りません。

そして一部の学生たちの記憶にはぼんやりと残るかもしれませんが、

ほとんどの卒業生たちにとって新入生のころの一つの授業の記憶は、

彼女たちが思い切り汗や涙を流したに違いない、

専門課程の授業の記憶に比べれば、印象の薄いものでしょう。

 

ちっちゃな感傷に浸る必要もなさそうです。

記憶にも記録にも残らない仕事、

でも僕はその時その時を、楽しんできました。

きっとそれで十分です。