僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

また一人、巨人が召されました

飲酒歴40年、断酒歴7年と1カ月、不良初期高齢者、リスボン、レベル64。

本日もリスボンの、今日はまじめな追悼記・ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。

 

ジャズ・サックス・プレイヤーの巨人、

ウェイン・ショーター Wayne Shorter が亡くなったそうです。

1933年生まれということですから、89歳、

亡くなった原因等は、伝えられていないようです。

 

 

恐らく一般の音楽ファンにとってウェイン・ショーターは、

それほど、なじみのあるミュージシャンではないでしょう。

ジョー・ザビヌルとの双頭バンド、ウェザー・リポートでの演奏は知られているかもしれませんが、

ウェザー・リポートも、どちらかといえば、破滅型の天才ベーシスト、

ジャコ・パストリアスの存在の方が目立っていたかな。

 

僕たち、ジャズ・プレイヤーにとってウェイン・ショーターは、

ちょっとした(というかかなり険しい)壁のような存在でした。

プレイヤーとしてよりも、作曲家として素晴らしいジャズ・オリジナル作品を残してくれていますが、

どの作品も、楽曲の和音構成の解釈が思い切り、難しいんです。

 

少しだけ専門的な話をしますと、

ウェイン・ショーターの書いたメロディーには、

分数コードと呼ばれる複雑な和音が多用されています。

 

しかも多くの場合、単独の調性で解釈することができない音の構成を用いていて、

非常にシャープな響きを実現してくれるのですが、

そこにどんな音を乗せていけば音楽として成立するのか、

熟慮に基づいた、充分な鍛錬が必要です。

 

生半可な覚悟で演奏すると、プレイヤーも迷子になり、

リスナーも何を拠り所に楽しめばよいのか分からない、

悲惨なことになります。

決まった時には、ホンマに最高にかっけー音空間を体験できるんですよ。

 

最近の僕は、どちらかといえば、

簡潔な音構成の中に複雑な響きをもたらす要素を盛り込むような演奏に力を入れていますが、

ウェインの残してくれた最初から最後までシャープな感覚に貫かれた曲にも、

折に触れて挑戦しようと思います。

先人たちは順番に天に召されていきますが、

僕の番はまだまだですよ。