僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

抑えることで確保される美

飲酒歴40年、断酒歴7年と2カ月、不良初期高齢者、リスボン、レベル64。

本日もリスボンの、ようやっとバランスが見えてきた?ノープラン・ブログ、

ご訪問ありがとうございます。

 

今日は、ベースの K さん、ドラムスの M さんとの3人でのライブでした。

このトリオ、昨年の秋から何回か手合わせをしてきましたが、

実はライブハウスでのライブ演奏は、今日が初めてでした。

これまでは、僕か K さんがホストを務めるジャムセッションでの演奏がメインでした。

 

今日は僕は他のお二人に、演奏にあたって一つの課題を共有してもらいました。

その課題とは、

「縦にも横にも音を薄く」というものです。

 

縦に音を薄くとは、あまり和音に頼らない演奏を心掛けること、

そして横に音を薄くとは、あまり一つのフレーズの中に音を詰め込まないことを意味します。

つまり、できる限り、スカスカな音で演奏しようという提案です。

 

どうしても人は、本番となると気合を入れてしまいます。

気合を入れること、そしてそのために緊張感を保つことは大事です。

しかし気合を入れることと、今できるいっぱいイッパイを詰め込むことは、

意味が異なります。

 

今日は、演奏中にも、音を出し過ぎていないか、常に、チェックしながらプレイしました。

やっぱり、頭から全開という気合の込め方は、無理があります。

もちろん、今日のプレイ中にも、頑張りすぎているフレーズを弾く瞬間もありました。

しかしブレーキを利かせることもできました。

 

120%の出力を目指すと、マシントラブルも起きやすくなります。

しかし70%くらいを目安に、1曲の中で120%を一か所くらいにとどめることを意識することで、

指も声も、余裕をもって次のフレーズへと気もちを保ち続けることができます。

 

多分、芸事の基本のような気がします。

自らの現在のポテンシャルを最大限に引き出すためにこそ、

力を抑え気味に引き出すこと、そしてその抑制的な忍耐の中で、

ホンマに必要かつ有効な爆発の瞬間をじっくりと待ち、捉えること。

60を過ぎて、少し芸の本質を垣間見ることができたような気もします。

やっぱ、長生きするもんですよ、人生は。

Viva!  断酒ライフ!