僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

読みやすかったけいいど、深刻といえば深刻、いい子症候群の若者たち

飲酒歴40年、断酒歴7年と8カ月、不良初期高齢者、リスボン、レベル64。

本日もリスボンの、ホンマにヤバイかも・ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。

 

「先生、どうか皆の前でほめないで下さい」

 

何のこっちゃいと思われるでしょうけど、

金間大介という金沢大学の先生が、昨年上梓された単行本のタイトルです。

 

 

朝日新聞の書評で紹介されてから、気になっていました。

大き目の本屋さんに行くたびに、探していたのですが、なかなか出会えませんでした。

注文すればいいようなものですが、

書評だけでは、書籍の細かい個性までははっきりしないので、

それもしませんでした。

 

たまたま、地元の図書館で見つけましたので、

早速、借り出して、読みました。

 

著者の金間先生、ビジネスや学習におけるモチベーションの問題を専門にされている、

(当然のことながら)とてもまじめな研究者です。

ですがこの書物、

かなりくだけた、そして明らかに受けネライの文体で書いてあり、

活字も大きく、紙質も厚めでしたので、

アっちゅう間に読み切れました。

 

ですが、書かれている内容は、かなり深刻なもので、

この国の将来について暗澹たる視座をもたざるを得ないようなものでした。

 

現在の大学生を中心とした若者たちは、

横並びの集団の中から浮いてしまうことを、何よりも恐れている、

たとえプラスの評価であったとしても、

自分だけが突出してしまうような評価のされ方だけは、

絶対に避けたい。

 

金間先生は、ご自身の学生との関りの積み重ねや、

関連する様々な学術的な知見から、

現代の日本の若者たちの行動特性を抽出されました。

 

僕も大学で若者たちと関わることを生業にしていますので、

この書物で指摘されている内容は基本的にはよくわかります。

 

ただ美大という、個性を発揮し、突出しないことには何事も始まらない、

極めて特殊な教育環境に身を置いていることで、

金間先生の見解とは異なる感じ方もありました。

 

一番、ショックであり、しかしながら共感せざるを得なかったのは、

この没個性を大事にし、自らも同調圧力の一部に成りきることをよしとする若者たちの価値観は、

彼ら独自のものではなく、

僕たちも含めた、この国の大人たちの伝統的な精神性に基づいている指摘でした。

 

この国の若者を腰抜けにし、この国のポテンシャルをひたすら貶めたのは、

大人たちがしつこく守り続けた、横並び意識でした。

究極のムラ社会、ニッポン、

どうやら、一度、相当な痛い目に会わないと、

この国の復活?はないようです。

 

間違っているかもしれませんが、

非常識に見える行動を堂々と取り続ける、めんどくさいジジィでいることが、

ホンマに僕の社会貢献?じゃないかと思っています。