僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

老境に至ったはずですが・・・

飲酒歴40年、断酒歴7年と9カ月、不良初期高齢者、リスボン、レベル64。

本日もリスボンの、円熟の境地にはなかなか・ノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。

 

芸人たるもの、芸歴を積み上げていけば、その芸も円熟の境地に至るはずです。

大学で若者たちを前に講義を披露してきた僕も、

ある意味で話芸を生業にしてきたわけで、

定年を迎える今年、芸歴だけは十分に老境に達しているはずなのですが・・・

 

この頃、講義中の話のキレが落ちているように感じます。

ずばり、「これはこうやで」、或いは「こういうこっちゃねン」と言いきれればいいのですが、

説明しながら、ホンマにそんな風に言い切ってええんかいなと自答し、

結果的に若者たちには、

「僕はこう考えてんねんけど、僕とは違う見方をする人もいてはるんで、

いろんな考え方を参考にしてや」と、

少しばかり、逃げを打つような話し方になっています。

 

学術的には、この断定を避ける説明の仕方の方が、適切な語りというべきでしょう。

でも若い頃の僕は、ある意味で若気の至りでもありますが、

学術的な厳密さよりも、僕自身の思いの強さを前面に平気で前面に出していました。

若者たちにとっては、ずばり言い切ってくれる語り手の方が、おもしろいと思います。

 

理想を言えば、学説の多様な可能性をしっかりと語りつつ、

しかし研究者としての矜持をしっかりと持って、自らの思いに適度な熱をまぶして語るべきでしょう。

しかし今の僕は、まだそのような境地には達していません。

 

期限切れ寸前の芸人としては、双六の上りに到達できないもどかしさもありますが、

でも、こんな芸歴の〆方があるでしょうし、

それが僕の人生の前半部?だった訳です。

年齢を重ねた結果、迷うようになった、それもこれからの生き方の可能性の種だと開き直りましょう。