僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

犬の張り子をもつ怪物

飲酒歴40年、断酒歴8年と2カ月、不良初期高齢者、リスボン、レベル65。

本日もリスボンの、今日は読書感想文・ノープラン・ブログ、ご訪問ありがとうございます。

 

「犬の張り子をもつ怪物」、

奇妙なタイトルです。

藍沢今日という作者による、

宝島社の「このミス大賞」文庫として出版された、小説です。

僕にしては珍しく、2週間ほどで読了できました。

 

断酒ライフに入門してから、寝床で文庫本の小説を読むようになりました。

地元の図書館に行き、ミステリーやミステリー仕立ての現代モノを中心に借りています。

選書の基準は特にはありません。

タイトルの印象、

裏表紙のウェルカム導入文、

そして冒頭部分を少し読んで、決めています。

 

どの作品も、借りて、そして読みっぱなしです。

ですので、誰の何という小説を読んだのか、あまり覚えてはいません。

非常に軽い読書スタイルといっていいでしょう。

 

今回のこの「犬の張り子をもつ怪物」ですが、

僕にしては珍しく、かなり深く作品世界に入り込みました。

ネタバレになるので、話の詳細には触れません。

 

 

主人公の女性は、ある特別な方法で残忍な殺人を繰り返します。

その動機の一部に、少女時代に感じた周囲の人びとに対する殺意がありました。

そして僕も思い出しました。

僕もこどものころに、周囲の誰かに対して深い殺意を抱いたことが何回かあったことを。

 

僕だけかもしれませんが、

こどもの感情って、一時的ですが、異常に深まることがありますよね。

こども故に、感情の起伏の原因となる事象だけしか見えなくなり、

感情が増幅されてしまいます。

でもこどもですので、実行力は伴わず、妄想の中から飛び出すことはありません。

妄想の殻を打ち破ることはないのですが、

しかし他者に対する根拠の乏しい怨念は、案外、長続きしてしまいます。

 

今朝、少しばかり早めに目覚めて、物語の最後の展開とエピローグを一気に読み終えてしまいました。

そして僕たちの中にあった、こども故の狂気のような感情を思い出してしまいました。