僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

僕の飲酒人生、依存症、そして肝硬変発症に至るまで(5)

僕の仕事は、以前にも少しふれましたが、タイム・フレックスな部分が少なくありません。
少なくとも、場所としての勤務先に身体的に拘束される時間は、通常の労働者の半分程度でしょう。
かといって完全な成果主義で評価されるわけではありませんが、職能維持のための日常的な努力が前提とされている職種ではあります。(もっとも、日本の多くの同業者が、この点についてはサボっていますけどね)

かつて6時が僕にとっての飲酒開始のレギュラー・スケジュールでしたが、それがいつの間にか、4時に早まってしまいました。
この前倒しがいつから始まったのか、実はあまりよく覚えていません。
おそらくは、この2,3年のことだと思います。
当然ながら、1日当たりの飲酒総量は増えました。
ところが相変わらず、体調は悪くならないのです。

昨年の夏、調査・研究のため、パリとロンドンを訪れました。
そしてロンドンから関空に戻る際に、ちょっとしたいたずらをしました。
ヨーロッパから日本に帰国する際には、時差の関係で機内で過ごす1日が時間的に圧縮されます。
ロンドン時間で朝、出発したにもかかわらず、ロンドン時間の夜中に日本時間の翌朝に日本に到着するわけです。
この時差の克服のために僕がしたいたずらは、トランジットのオランダ、スキポール空港で、ロンドン時間の午前中から、ウィスキーを飲み始めるという、禁じ手です。
ロンドン時間の午前中は、日本時間の夕刻ですので、酔っぱらって機中で眠るためには、ちょうどよい時間設定なのです。
このいたずらは、効を奏しました。
機内で夕食が出され、機内時間が強制的に夜に設定される頃には、ぐっすりと眠ることができました。
そして翌朝、関空から自宅まではるかで戻る際に、車内で少しだけ眠りましたが、1日で時差を解消することができたのです。
午前中から、飲む、それも口を湿らすというような程度ではなく、本格的に飲む、この禁じられた楽しみを知ってしまいました。

(続きます)