僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

感動ポルノ

今年は紅葉が異常に早いんだそうです。
体重のじんわりとした増加が気になりながらも、アル症と肝硬変、仲良く3人4脚、リスボン、57歳、今日も厚かましく元気です。

本日も、リスボンの、わがまま・有害無益・ブログ、ご訪問ありがとうございます。

もうすぐ、リオデジャネイロパラリンピックが始まります。
今年の夏は、いろいろな意味で障害者に対する社会的な関心が高まった夏でした。

相模原の知的障害者施設への襲撃事件もそうです。
また、パラリンピックは、エリートスポーツの祭典ではありますが、障害者に対する社会的関心を高める、有意義なイベントです。

そしてもう一つ。
これは、関係者以外にとっては、あまり大きな関心を呼び起こすことはなかったかもしれませんが、
8月28日の日曜日、NHK教育テレビの障害者に対する社会的啓発を目的としたバラエティー番組、バリバラが、
ちょうど裏番組で展開されていた日本テレビ系のチャリティー番組、24時間テレビの時間帯に合わせて、
「笑いは地球を救う」という、特集を組んだことです。

その日のバリバラでは、出演者全員が、明らかに「愛は地球を救う」Tシャツのパロディーである「笑いは地球を救う」Tシャツを着て出演しました。

そして主に、悲劇的な状況に置かれている障害者が、本人の類稀なる努力と周囲の賞賛すべき努力によって困難を乗り越えていく、障害者をヒーローとしてクローズアップする、ヒーロー・ドキュメンタリーに対して、無理やり感動を押し付ける感動ポルノであるとして批判するトークを、出演者が語り合いました。

このような感動押し付け型のヒーロー・ドキュメンタリーについて、問題を個人の問題に矮小化してしまい、障害の社会的側面から目を背けさせるものとして批判することは、障害学や障害者福祉の専門家からは、以前から指摘されてきました。

つまり、ヒーロー・ドキュメンタリーは、社会が本来負うべき責任には目をつぶり、感動という一見美徳に見える劇薬で事態をごまかすことで、僕たちの社会が持っている共犯的な構造を隠していることになるのですね。

バリバラだからこそ、ようやく重い腰が上がったんだな、と思います。

障害当事者や関係者にとって当たり前のことが、社会一般の当たり前になるのには、少し時間がかかるものですね。

平均的な多数者が実は、標準ではないということ、多くの人がこのことに思いを寄せて欲しいと願います。

僕たち、アル症者は、どうなんでしょうね。


迷いつつ、今日も(明日も)皆さん、そして僕も、ご機嫌さんで
LWOA Life Without Alcohol 断酒ライフ、継続しましょう。