僕のワンノートサンバ

断酒ライフを送る元大学教師にしてジャズ・ピアニスト、ヴォーカリスト

当事者にしかわからないこと

飲酒歴40年、断酒歴2年と少し、今はやめましたがギャンブラー歴約10年、リスボン、59歳。

本日もリスボンの、秘密のノープランブログ、ご訪問ありがとうございます。


秘密、
ちょっと大げさかもしれませんが、

タイトルにも書いたように、
当事者にしかわからないことがあるだろ、という話です。

今日はアルコール依存症ではなく、ギャンブル依存症の話。


韓国のカジノで人生がむちゃくちゃになってしまった人の話を、
昨日、ネットで読みました。

元ネタは確か、スポーツ新聞だったと思います。

その記事の主人公は、
決して人生の裏街道を歩いてきた人ではありませんでした。

まじめに社会の表側を歩き、恥ずかしいところはほとんどない、ほぼ満点の社会人としての生活を営んでいた人のようです。

しかしその人の人生が、
たった一度だけ、カジノで思わぬ勝利を味わうことから狂ってしまいます。

彼はカジノのギャンブルにはまり、
ついには借金に借金を重ね、
不動産も手放し、
今ではカジノの周りにある商業施設でアルバイトで糊口をしのいでいるとのことです。

ギャンブル依存症は、アルコール依存症のような物質由来の薬物使用障害とは異なり、
脳内物質の異常分泌?に基づく完全に内因性の精神疾患のようで、
もちろん、その病理機序の解明はまだまだ先でしょう。

しかし恐らくギャンブル依存症の当事者も僕たちアルコール依存症の当事者と同じように、
ある時点から理性的な判断の力を失ってしまうようです。

これ以上のめり込んだらいけない、ということは理屈では理解していても、
ギャンブルの負けはギャンブルで取り返さないと自らの本能が納得しない、

どんなギャンブルでも必ず胴元が儲かるようになっていることを理解しながらも、
自らの一時的で全く根拠のない全能感の奴隷になってしまう、

依存症とは、
その由来が物質であろうとも行為であろうとも、
僕たちを人間以外の生き物に変えてしまう、
恐ろしい病気です。

韓国人が出入りできるカジノは限られているそうですが、
しかしそのすべてのカジノの周囲には、
すでに人間であることをやめてしまったギャンブル依存症の韓国人たちを食い物にする、
悪魔のようなスポットがあちらこちらで怪しい光を放っているそうです。


我が国のIR推進派のえらい先生方は、
日本人のカジノ入場回数を制限することで依存症対策になると考えているようですが、

そもそも依存症の本質をご存じない、浅はかな考えとしか言えません。

回数を制限しても依存症の罠に落ちる人は落ちます。
そして恐らく、その人数が少なくなるということもないんじゃないかな。

依存の形成の機序がまだ明らかではない以上、
単なる浅はかな推測で対策を立てたことにしても、
結果は悲惨なことになるでしょう。


依存症に陥り、
そして依存症と仲良くしながら暮らしている僕たちのような当事者の話を聞かずに、
根本的な対策は立てられないはずです。


多分パチンコは、その実質的なレートがインフレを起こすことによって依存症当事者の増加を加速させたと思われます。
その原因は、回数や頻度ではないと思います。

単なる偶然にすぎないのに、
人生を左右するかもしれないとんでもない額の金額を手に入れることがある、
しかもその瞬間をあたかも神による素晴らしい選択の宣告であるかのように錯覚させる華々しい演出、

多分、こういった要素が依存症形成のカギだと思われます。
決して頻度ではありません。


以前にも書きましたが、
日本のIRはまず成功しません。

そしてギャンブル依存症患者の生ける屍を累々と生み出すのみです、間違いなく。

東京ダイナマイト風に)IR推進派の政治家ども、風邪ひけよ。
いやもっとはっきり言わなあかんな、バカは死ななきゃ治らん、
そしてこの国の不幸は、バカが政治家になってしまうことですね。


依存症当事者が誰でも経験する恐怖、
しかしこの恐怖は、当事者以外には理解できないようです。

必要とあれば僕は証人になります。


あの恐怖は語りましょう、しかし二度と経験するのは御免です。

ですので、

皆さんも僕も、今日も明日も、厚かましくも謙虚にかつご機嫌さんで
LWoA Life Without Alcohol 断酒ライフ、継続していきましょう。